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カワサキのZ1000について調べていると、人気ないという声を目にすることがあります。実際、Z1000は国内では販売終了となり、現在正規の新車流通はありません。しかし、このバイクは本当に人気がなかったのでしょうか。
Z1000のスペックを見ると、1043ccの水冷4気筒エンジンを搭載し、馬力は141PSを誇ります。最高速は理論上238km/hに達するとされ、速すぎるという評価も少なくありません。燃費はリッター15〜20km程度で、リッタークラスとしては標準的な数値です。足つき性はシート高815mmで、身長165cm程度だとつま先立ちになるという声もあります。カスタムパーツについては、海外製品を中心に一定の選択肢があるものの、国内メーカーの製品は限られているのが実情です。
この記事では、Z1000が日本市場で苦戦した背景や、その真の実力について詳しく解説していきます。
- Z1000が日本で人気を得られなかった具体的な理由
- Z1000の性能スペックと実際の走行性能
- 国内販売終了に至った経緯と海外での現状
- 中古車市場での評価と購入時の注意点
Z1000が人気ないと言われる理由

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- Z1000は販売終了している
- Z1000のスペックと馬力
- Z1000の最高速は速すぎる?
- Z1000の燃費性能
- Z1000の足つき性能
Z1000は販売終了している
Z1000は国内では2022年1月14日に発売された2022年モデル(税込1,188,000円)を最後に、正規の新車流通が終了しました。カワサキの国内公式ラインナップからも姿を消し、現在国内正規販売店での新車購入は不可能です。一方で、海外市場では継続して販売されている地域もあり、一部地域(例:オーストラリア)では2024年モデル、2025年モデルが現行販売されています。
国内での販売終了は、多くのファンにとって突然の出来事でした。少なくとも国内公式発表ベースでは、Z1000の特別な最終記念モデルやファイナルエディションの展開は確認できません。通常、バイクメーカーは人気モデルの生産終了時には、在庫処分を兼ねてファイナルエディションを販売しますが、Z1000にはそのような展開がなかったようです。
国内販売終了の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、最新の排ガス規制への対応コストが挙げられます。Z1000のエンジンは電子制御がABS以外ほとんど搭載されておらず、厳しくなる環境基準をクリアするには大幅な改修が必要でした。
また、同社のラインナップには兄弟車であるNinja1000(現在のNinja1000SX)が存在し、ツーリング性能を重視したモデルとして一定の販売台数を確保していました。さらに、2017年に登場したZ900RSが丸目一灯のクラシカルなネイキッドとして大ヒットを記録し、社内でのポジションが重複していたことも影響したと考えられます。
カワサキとしては、限られた開発リソースをより販売が見込めるモデルに集中させる判断をしたのでしょう。Z1000はストリートファイターというジャンルを代表するモデルでしたが、日本市場では丸目ネイキッドの人気に勝てませんでした。海外では現在も販売が続いていることから、地域によって需要に大きな差があることが分かります。
なお、海外で現行販売されている新車を並行輸入という形で国内に持ち込む方法は理論上存在します。ただし、型式認定、排ガス・騒音適合、保証やアフターサービスの扱いなど、手続きの複雑さやコスト面から一般的な選択肢とは言えません。国内正規ディーラーでのサポートも受けられないため、現実的には国内での新車入手は困難な状況です。
Z1000のスペックと馬力
Kawasaki Z1000
Photo by @yuyanin7 pic.twitter.com/Ec2JA1ypUl
— kawa3033 (@TOYO3033) August 18, 2025
Z1000の心臓部には、1043ccの水冷4ストローク並列4気筒DOHCエンジンが搭載されています。このエンジンは2010年のフルモデルチェンジ時にオールニューエンジンとして導入されたもので、ボアストロークは77mm×56mmという設定です。初代モデル(2003〜2006年)に搭載されていた953ccエンジンはZX-9R派生とされていますが、1043ccエンジンは異なる系統の新設計ユニットとなっています。
最高出力は141PS(104kW)を10000rpmで発生し、最大トルクは111N·m(11.3kgf・m)を7300rpmで発揮します。これらの数値は、国産の大型ネイキッドバイクの中でもトップクラスの性能を誇ります。圧縮比は11.8で、ハイオクガソリン仕様となっています。
車両重量は年式により220〜221kg(装備重量)で、リッターバイクとしては標準的な重量です。この車体と高出力エンジンの組み合わせにより、パワーウェイトレシオは約1.57kg/PSという優れた数値を実現しています。
項目 | スペック |
---|---|
エンジン形式 | 水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ |
総排気量 | 1043cc |
最高出力 | 141PS/10000rpm |
最大トルク | 111N·m(11.3kgf・m)/7300rpm |
車両重量(装備重量) | 220〜221kg(年式により差異あり) |
シート高 | 815mm |
燃料タンク容量 | 17L(2014年以降)/ 15L(2010〜2013年) |
フレームはアルミ製ツインスパーフレームを採用し、高い剛性と軽量化を両立させています。これも2010年のフルモデルチェンジ時に新設計されたものです。サスペンションは、フロントにφ41mmの倒立フォーク、リアにはホリゾンタルバックリンク式を装備しました。
ブレーキシステムは、フロントにφ310mmダブルディスクとトキコ製ラジアルマウント4ピストンキャリパー、リアにφ250mmディスクを採用しています。2017年モデル以降のRエディションでは、ブレンボ製M50ブレーキキャリパーとオーリンズ製S46サスペンションが標準装備されました。
タイヤサイズはフロントが120/70ZR17、リアが190/50ZR17という設定で、スポーツ走行にも対応できる太さを確保しています。ホイールベースは年式により差異があり、2014年以降の国内モデルでは1440mm(海外表記で1435mmの年式もあり)、キャスター角は24.5度、トレール量は101〜103mm(年式により差異あり)という設定により、俊敏なハンドリングを実現しています。
ステアリング切れ角はおよそ29度程度(年式により差異あり)で、最小回転半径は3.2m程度とされています。これはスーパースポーツに近い設定で、小回りには若干の慣れが必要です。
Z1000の最高速は速すぎる?

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Z1000の理論上の最高速度は、代表的なギヤ比とタイヤ外径から計算すると約238km/hに達するとされています。この数値は、エンジンの最高出力回転数10000rpm、一次減速比1.627、各段のギヤ比、二次減速比(年式・市場により2.733、2.800、2.867など差異あり、ここでは代表値を使用)、そして190/50R17タイヤの外径から算出された概算値です。実際の走行では空気抵抗や駆動ロスなどがあるため、この速度には到達しませんが、それでも相当なポテンシャルを秘めています。
ただし、Z1000はネイキッドバイクであり、フルカウルを装備していません。そのため、高速走行時には強烈な風圧がライダーを直撃します。実際のオーナーレビューでも、「80km/hを超えると風圧がきつい」「高速道路では110km/h以上で向かい風との格闘になる」という声が多数見られます。
Z1000で高速域を走行する場合、小型のスクリーンを装着するなどの対策が必要になります。しかし、社外品のスクリーンを取り付けると、せっかくの攻撃的なフロントマスクが損なわれてしまうというジレンマがあります。デザインを重視するか、実用性を取るか、オーナーは悩むことになるでしょう。
エンジンの性格も、最高速追求型ではありません。Z1000のエンジンは、4000rpm以下では比較的おとなしく、街乗りでも扱いやすい特性です。しかし、4000rpmを超えると一変し、6000〜8000rpm域で「炸裂する」ような加速力を発揮します。この高回転型の特性は、最高速よりも中速域での加速を重視した設定と言えます。
ギア比もクローズレシオで設定されており、加速性能を重視した味付けになっています。6速ギアでの巡航回転数は、時速100kmで約4200rpm(代表的なギヤ比とタイヤ外径からの概算、年式・二次減速比により数百rpm程度の差が生じる可能性あり)という設定です。このため、最高速を伸ばすよりも、コーナーの立ち上がりや追い越し加速など、実用的な速度域での性能を優先していることが分かります。
つまり、Z1000は実用域での加速性能を重視しながら、必要十分以上のパフォーマンスを持つバイクと表現するのが正確でしょう。公道での使用を前提とした場合、最高速よりも中速域でのトルクやレスポンスの良さの方が重要です。その点で、Z1000の設計思想は理にかなっています。
Z1000の燃費性能
うちのZ1000くん下道だと燃費13km/Lくらいなのに、高速だと21km/Lも行ってうれぴい
だいたい300km走るぞ pic.twitter.com/akNrQQBsfN— Yamato (@TriggerYama) September 30, 2024
Z1000の燃費は、カタログ上の国土交通省届出値(定地燃費値)で23.0km/L(60km/h・2名乗車時)とされています。また、2017年モデルの資料にはWMTCモード値として17.5km/Lという数値も記載されています。しかし、これらは規定条件下での数値であり、実際の使用では大きく異なります。
実際のオーナーの報告によると、市街地走行では13〜16km/L程度、高速道路での巡航では17〜20km/L程度が一般的な燃費のようです。ワインディングなどでエンジンを回して走ると、10〜14km/L程度まで悪化することも珍しくありません。これらはあくまでオーナー報告ベースの実燃費レンジですが、WMTCモード値17.5km/Lとの比較で見ても、走行条件によって大きく変動することが分かります。
燃料タンク容量は、2010〜2013年モデルでは15L、2014年以降のモデルでは17Lに拡大されました。しかし、実際に使える容量はこれより少なく、ガソリンの残量警告灯が点灯するのは残り3〜4L程度と言われています。
多くのオーナーが指摘しているのが、航続距離の短さです。タンク容量17Lで実燃費15km/L程度だと、理論上は255km走行できる計算になりますが、余裕を持って給油することを考えると、実質的な航続距離は200km程度と考えるべきでしょう。ツーリングでは、こまめな給油計画が必要になります。
燃費に影響する要因として、ハイオクガソリン指定であることも見逃せません。レギュラーガソリンと比べて1リットルあたり10〜15円程度高いため、ランニングコストは相応に高くなります。リッターバイクに燃費を求めるのは筋違いという意見もありますが、財布への負担は無視できません。
ただし、燃費の良し悪しは乗り方次第です。エンジン回転数を4000rpm以下に抑えて穏やかに走れば、20km/Lを超える燃費を記録することも可能です。逆に、Z1000の真骨頂である高回転域を多用すると、燃費は大幅に悪化します。このバイクを選ぶ人は、燃費よりも走りの楽しさを優先する傾向があるため、燃費の悪さはそれほど問題視されていないようです。
Z1000の足つき性能

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Z1000のシート高は815mmで、大型バイクとしては特別高いわけではありません。しかし、実際の足つき性は身長によって大きく異なります。身長170cm以上あれば両足のかかとが地面に着きますが、165cm前後だと両足のつま先立ち、160cm以下だと片足でしっかり支える必要があります。
シート形状も足つきに影響を与えます。Z1000のシートは前部がスリムに絞られており、内股を大きく開く必要はありません。この点は足つき性に有利に働きます。一方で、シート自体がやや硬めで厚みがあるため、体重が軽い人だと沈み込みが少なく、足つきが悪化する可能性があります。
車両重量は年式により220〜221kgという重さも、足つき性と関連して考えるべき要素です。停車時にバランスを崩すと、足つきが悪い状態では支えきれずに立ちゴケのリスクが高まります。実際、オーナーのレビューには「立ちゴケを数回経験した」という報告も見られます。
特に注意が必要なのは、ハンドルを切った状態でのブレーキングです。Z1000はSSに近いハンドル切れ角(年式により差異はありますが、およそ29度程度)しかないため、小回りをしようとしてハンドルを限界まで切り、その状態でブレーキをかけると、バランスを崩しやすくなります。低速での取り回しには、ある程度の慣れと注意が必要です。
足つき性を改善する方法として、ローダウンキットの装着があります。リアサスペンションのリンクを変更することで、2〜3cm程度車高を下げることが可能です。ただし、ローダウンすると最低地上高が減少し、バンク角も浅くなるため、スポーツ走行時の性能は犠牲になります。
シートの加工も選択肢の一つです。あんこ抜きと呼ばれる加工でシートの厚みを減らせば、1〜2cm程度のシート高低減が期待できます。ただし、クッション性が低下するため、長距離走行時の快適性は損なわれます。
足つきに不安がある場合は、購入前に必ず実車にまたがって確認することをお勧めします。できれば試乗して、停車状態だけでなく低速走行時の取り回しも体験しておくべきでしょう。Z1000は優れたバイクですが、足つきが悪いと十分に楽しめません。
Z1000は人気ないのか検証

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- Z1000のカスタム事情
- カワサキZ1000のおすすめ年式
- 海外では人気のストリートファイター
- 日本で人気がない本当の理由
- Z1000の中古車価格相場
Z1000のカスタム事情
Z1000のカスタムパーツは、国内メーカー製品が限られているという声が多く聞かれます。これは販売台数が少なく、市場規模が小さいことが主な理由と考えられます。ただし、海外ブランドのパーツは比較的豊富に存在し、個性的なカスタムを楽しむことは十分可能です。
マフラーについては、国内ではトリックスターやノジマエンジニアリングなどから製品がリリースされています。特にトリックスターからは4-1集合タイプのマフラーが、ノジマからはFASARM PROシリーズとしてチタン製マフラーが発売されています。マフラー交換による軽量化効果は製品によって異なりますが、純正マフラーと比較して軽量化が期待できる製品が存在します。
海外メーカーでは、アクラポビッチ、ヨシムラ(北米版)、Two Brothers Racingなどから高性能マフラーが発売されています。これらの製品は輸入代理店やオンラインショップを通じて入手可能です。
スクリーンやカウル類のカスタムも人気があります。マジカルレーシング、BODY STYLE、PUIGなどから、スポーツタイプやツーリングタイプのスクリーンが販売されています。風防効果を高めたい場合は検討する価値がありますが、前述の通り、デザイン性を損なう可能性がある点には注意が必要です。
ステップ周りのカスタムでは、バックステップキットが人気です。OVER Racing、STRIKER、Werksなどから、調整式のバックステップが販売されています。ポジションをよりスポーティに変更できるため、峠やサーキットでの走行を楽しむライダーに支持されています。
サスペンション交換も定番のカスタムです。オーリンズ、ニトロン、K-FACTORYなどから、フロントフォークやリアショックの交換キットが販売されています。特にオーリンズ製品は、Rエディションに標準装備されていることもあり、人気が高い選択肢です。
エンジン関連では、パワーコマンダーやRapid Bike EVOなどの燃調コントローラーを使用して、マフラー交換後のセッティングを最適化することができます。吸気系のカスタムとしては、K&NやBMCのエアフィルターに交換する方法があります。
外装パーツについては、カーボン製のタンクカバーやサイドカウル、フェンダーなどが各社から販売されています。軽量化と同時にドレスアップ効果も期待できます。ただし、カーボンパーツは高価なため、予算との相談になるでしょう。
兄弟車のNinja1000とは多くの部品が共通しているため、一部のパーツは流用可能です。これにより、選択肢が広がる場合があります。購入時には適合を確認する必要がありますが、Ninja1000用として販売されているパーツもチェックする価値があります。
カワサキZ1000のおすすめ年式
暑くて熱くて乗るのに気力が要るけど
乗ってしまえばね
やっぱZ1000のちょい前傾ポジションは良い😁 pic.twitter.com/mjB7IMes8w— シュウ (@uaz33w) September 2, 2025
Z1000は2003年の初代モデルから2022年の国内販売終了まで、大きく4世代に分かれます。それぞれの世代で特徴が異なるため、用途や好みに応じて選択することが重要です。
初代モデル(2003〜2006年)
ZX-9R派生とされる953ccエンジンを搭載した初代モデルは、4本出しマフラーが特徴的です。2002年のミュンヘンで開催されたインターモトでデビューし、翌2003年から販売が開始されました。最高出力は127PSで、高回転型のピーキーな性格を持っています。エンジンの振動が比較的大きく、長距離ツーリングには向きませんが、回して楽しむタイプのバイクが好きな人には魅力的です。
デザインは賛否が分かれますが、独特の個性があります。現在の中古車相場は比較的安価で、50万円前後から購入可能です。ただし、年式が古いため、消耗品の交換や整備に費用がかかる可能性があります。
2代目モデル(2007〜2009年)
フルモデルチェンジを受けた2代目は、トルク重視のエンジン特性に変更されました。初代よりも扱いやすく、街乗りからツーリングまで幅広く対応できます。シャープなデザインに進化し、現代的なスタイリングを獲得しました。
この世代は、初代の過激さを残しつつ実用性を高めたバランスの良いモデルと評価されています。中古車相場は60〜80万円程度で、比較的手頃な価格で入手できます。タマ数も少なくないため、選択肢は豊富です。
3代目モデル(2010〜2013年)
完全新設計の1043ccエンジンと新設計アルミフレームを搭載した3代目は、Z1000の転換点となったモデルです。最高出力138PSを発揮し、軽量化と高剛性を実現しました。
ホリゾンタルバックリンクリアサスペンションを採用し、マスの集中化を図っています。デザインもより攻撃的になり、現在のZ1000のイメージを確立しました。燃料タンク容量は15Lです。中古車相場は70〜100万円程度で、状態の良い個体を探すことができます。
4代目モデル(2014〜2022年)
「Sugomi(凄み)」デザインを採用した4代目は、獲物を狙う猛獣のような表情が特徴です。エンジンは熟成が進み、最高出力141PSを発揮します。燃料タンク容量も17Lに拡大され、航続距離が改善されました。2017年モデル(税込1,144,800円)以降のRエディションでは、ブレンボ製M50ブレーキキャリパーとオーリンズ製S46サスペンションを標準装備しています。
世代 | 年式 | エンジン | 最高出力 | タンク容量 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
初代 | 2003〜2006 | 953cc(ZX-9R派生) | 127PS | 15L | 4本出しマフラー、ピーキーな特性 |
2代目 | 2007〜2009 | 953cc(改良版) | 127PS | 15L | トルク重視、シャープなデザイン |
3代目 | 2010〜2013 | 1043cc(新設計) | 138PS | 15L | 新設計フレーム、ホリゾンタルサス |
4代目 | 2014〜2022 | 1043cc(熟成版) | 141PS | 17L | Sugomiデザイン、Rエディション追加 |
4代目は最も新しく、部品の入手性も良好です。電子制御はABS以外ほとんど搭載されていませんが、それがかえってダイレクトな操作感覚を生み出しています。中古車相場は90〜150万円程度で、年式や装備、走行距離によって価格が大きく異なります。Rエディションは特に人気が高く、相場も高めです。
総合的に見ると、初めてZ1000を購入するなら、3代目(2010〜2013年)または4代目(2014年以降)をお勧めします。3代目は価格と性能のバランスが良く、4代目は最新の技術と魅力的なデザインを備えています。予算に余裕があり、最高の状態を求めるなら、4代目のRエディションが最良の選択となるでしょう。
海外では人気のストリートファイター

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Z1000が日本で苦戦した一方、海外市場では高い評価を得ていました。特にヨーロッパでは、ストリートファイターというジャンルの代表的なモデルとして認知されています。実際、Z1000の開発コンセプトは、欧州市場をメインターゲットとしたものでした。
ストリートファイターとは、スーパースポーツのエンジンと車体性能を持ちながら、カウルを取り払いバーハンドルを装着したバイクのことを指します。SSほど前傾姿勢がきつくなく、街中でも扱いやすい一方、スポーツ性能を犠牲にしないという思想で作られています。
欧州では、このジャンルに属するバイクが数多く販売されています。代表的なモデルとしては、ドゥカティのストリートファイターV4、トライアンフのスピードトリプル、KTMの1290スーパーデュークRなどが挙げられます。これらのモデルは、いずれも高性能エンジンと俊敏なハンドリングを特徴としています。
Z1000は、2002年のミュンヘンで開催されたインターモトでデビューしました。この展示会での反応は非常に好意的で、翌2003年から欧州市場での販売が開始されました。攻撃的なデザインとハイパフォーマンスは、欧州のライダーに強く支持されました。
欧州市場では、Z1000は単なる移動手段ではなく、週末に峠道を攻めて楽しむためのスポーツバイクとして位置づけられています。カフェレーサー的な使い方も人気で、短時間に凝縮された走りの楽しさを求めるライダーに支持されています。
北米市場でも、Z1000は一定の人気を獲得していました。広大な大陸を走るツーリングバイクとしては不向きですが、都市部での使用や、ワインディングロードでのスポーツ走行を楽しむライダーに選ばれています。特に、日本車の信頼性とカワサキブランドの魅力が評価されました。
海外のバイク雑誌やウェブメディアのレビューを見ると、Z1000は「エキサイティング」「アグレッシブ」「ピュアな走りの楽しさ」といった言葉で評価されています。電子制御が少ないことも、「ライダーの技量が試される」「ダイレクトな操作感が魅力」とポジティブに捉えられています。
一部地域(例:オーストラリア)では2024年モデル、2025年モデルが現行販売されており、Z1000の需要が継続していることが分かります。日本では国内販売が終了したモデルでも、海外では依然として新車が入手可能な地域が存在するのです。
このように、Z1000は海外、特に欧州市場では人気を獲得していました。しかし、その魅力が日本市場では十分に理解されなかったのです。市場によって求められるバイクの性格が異なることを、Z1000は象徴的に示しています。
日本で人気がない本当の理由

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Z1000が日本で人気を得られなかった理由は、単純に性能が劣っていたからではありません。むしろ、性能面では国産ネイキッドの中でもトップクラスでした。問題は、日本のバイク文化やライダーの嗜好と、Z1000のコンセプトがマッチしなかったことにあります。
最も大きな理由は、デザインの好みです。日本のネイキッドバイク市場では、丸目一灯のクラシカルなデザインが圧倒的な人気を誇ります。カワサキでいえば、ゼファー、ZRX、そしてZ900RSといったモデルが該当します。これらのバイクは、1970〜80年代の名車を彷彿とさせるスタイリングで、多くのファンを獲得しています。
一方、Z1000は「Sugomi」デザインに代表される攻撃的で先鋭的なスタイリングを採用しました。獲物を狙う猛獣のような吊り上がった4灯式ヘッドライトは、見る人を選ぶデザインです。実際、オーナーレビューでも「ガンダムみたい」「カマドウマっぽい」「虫みたい」といった賛否両論の意見が見られます。
日本のライダーの多くは、バイクに「バイクらしさ」を求める傾向があります。丸いヘッドライト、シンプルなタンク形状、ツインショックサスペンションといった伝統的なネイキッドスタイルが好まれるのです。Z1000のような近未来的なデザインは、一部の熱狂的なファンを獲得できても、マス市場では受け入れられにくかったと言えます。
もう一つの理由は、ポジショニングの中途半端さです。Z1000はネイキッドとフルカウルスポーツの中間に位置するストリートファイターというジャンルのバイクです。しかし、日本市場ではこのジャンル自体の認知度が低く、需要も限定的でした。
スポーツ性能を求めるライダーは、素直にSSを選びます。ツーリング性能を求めるライダーは、カウル付きのスポーツツアラーやクルーザーを選びます。街乗りメインなら中型バイクで十分です。このように考えると、Z1000のようなハイパワーなストリートファイターを選ぶ明確な理由が見つけにくいのです。
価格面でも、Z1000は不利でした。新車価格は年式により変動しますが、2017年モデルで1,144,800円(税込)、2022年モデルでは1,188,000円(税込)という設定でした。これは決して高額ではありませんが、同価格帯には魅力的な競合車が多数存在します。例えば、ホンダCB1300SFやヤマハXJR1300といった伝統的なビッグネイキッドは、より幅広い層に支持されています。
カスタムパーツの少なさも、普及を妨げた要因の一つです。日本のバイク文化では、購入後のカスタマイズを楽しむライダーが多く存在します。しかし、Z1000は販売台数が少ないため、国内メーカーがパーツを開発するインセンティブが働きませんでした。結果として、カスタムの選択肢が限られ、さらに人気が出にくいという悪循環に陥りました。
逆輸入車であることも、普及の障害となりました。初期のモデルは国内正規販売がなく、逆輸入車として流通していました。このため、ディーラーでのサポートが受けにくく、部品の入手にも時間がかかるという問題がありました。後に国内仕様が登場しましたが、既についたイメージを払拭するのは困難でした。
さらに、カワサキの社内での競合も影響しました。Z900RSが2017年に登場すると、クラシカルなデザインを求める層はこちらに流れました。Ninja1000もツーリング派のニーズを満たしており、Z1000の存在意義が薄れていったのです。限られたマーケティング予算の中で、Z1000は優先順位を下げられたと推測されます。
Z1000の中古車価格相場

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Z1000の中古車価格は、年式やモデル、状態によって大きく異なります。以下に示す価格帯は、執筆時点での参考観測値であり、市場の変動により常に変化します。最新の相場については、GooBikeやWebikeバイク選びなどの中古車情報サイトで確認することをお勧めします。
年式(世代) | 価格帯(参考) | 特徴 |
---|---|---|
2003〜2006年(初代) | 40〜60万円 | 最も安価だが、経年劣化に注意 |
2007〜2009年(2代目) | 55〜80万円 | バランスが良く、狙い目の年式 |
2010〜2013年(3代目) | 70〜110万円 | 性能と価格のバランスに優れる |
2014〜2016年(4代目前期) | 90〜130万円 | Sugomiデザイン採用 |
2017〜2022年(4代目後期) | 110〜180万円 | Rエディションは高価格帯 |
これらの価格は、走行距離や車両状態、カスタムの有無によって変動します。走行距離が1万km未満の低走行車両や、質の高いカスタムが施された車両は、相場よりも高値で取引される傾向があります。逆に、事故歴がある車両や、走行距離が3万kmを超える車両は、相場よりも安くなります。
最新の中古車相場については、GooBikeやWebikeバイク選びなどの中古車情報サイトで確認することをお勧めします。これらのサイトでは、全国の在庫状況や価格帯をリアルタイムで確認できます。
注目すべきは、同じカワサキのネイキッドでも、Z900RSやZRX1200ダエグ、ゼファー1100などの中古車相場が200万円を超える高額になっている点です。これらのモデルと比較すると、Z1000は半額程度の価格で購入できます。性能面ではZ1000の方が圧倒的に優れているにもかかわらず、この価格差が生じているのです。
この価格差の理由は、需要と供給のバランスにあります。丸目ネイキッドは希少価値が高く、熱心なファンが高値でも購入します。一方、Z1000は人気が限定的なため、価格が抑えられています。これは、コストパフォーマンスを重視するバイヤーにとっては絶好のチャンスと言えるでしょう。
中古車購入時の注意点として、逆輸入車と国内仕様車の違いを確認することが重要です。逆輸入車は180km/hのスピードリミッターが装着されていない場合が多く、メーター表示もマイル表示になっていることがあります。部品の供給面では、国内仕様車の方が有利です。
また、Z1000は既に国内では生産終了しているため、今後部品の入手が徐々に困難になることが予想されます。特に外装部品やエンジン内部の特殊な部品は、在庫がなくなれば入手不可能になる可能性があります。購入前には、主要部品の在庫状況をカワサキのディーラーに確認しておくことをお勧めします。
走行距離については、2万km以下の個体を選ぶのが理想的です。Z1000のエンジンは耐久性が高いものの、消耗品の交換時期を考えると、あまり距離を走っていない車両の方が安心です。特にチェーン、スプロケット、ブレーキパッド、タイヤなどの消耗品の状態を必ず確認しましょう。
カスタム車両を購入する場合は、どのようなパーツが装着されているかを詳細に確認してください。マフラー交換車両の場合、燃調のセッティングが適切に行われているかが重要です。セッティングが不適切だと、エンジンの調子が悪かったり、燃費が極端に悪化したりする可能性があります。
試乗できる場合は、必ず試乗してから購入を決めましょう。エンジンの始動性、アイドリングの安定性、加速時の吹け上がり、変速時のフィーリング、ブレーキの効き具合、サスペンションの動き、異音の有無などを確認します。特にギアの入りが悪い場合は、クラッチやミッションに問題がある可能性があります。
総括:Z1000が人気ないと言われる理由とは?販売終了の真相とスペック
- Z1000は国内では2022年モデルを最後に正規新車流通が終了したが、海外では継続販売地域あり
- 排ガス規制対応コストと社内競合(Z900RS、Ninja1000)が販売終了の主な理由
- 1043ccエンジンは2010年に新設計として導入され、141PS、111N·mの高性能を誇る
- 理論最高速は約238km/hだが、ネイキッドのため高速域では風圧が大きい
- 実燃費は市街地13〜16km/L、高速17〜20km/L程度で、航続距離は実質200km程度
- シート高815mmで身長165cm以下だと足つきに苦労し、車両重量は220〜221kg
- 2017年以降のRエディションはブレンボM50とオーリンズS46を標準装備
- 海外特に欧州市場ではストリートファイターとして高評価を獲得
- 日本では丸目ネイキッドの人気に押され、攻撃的なSugomiデザインが賛否両論
- ストリートファイターというジャンル自体が日本市場では認知度が低かった
- カスタムパーツは国内製品が限られており、海外製品が中心
- おすすめ年式は3代目(2010〜2013年)または4代目(2014年以降)
- 中古車相場は40〜180万円程度で、同クラスの丸目ネイキッドの半額程度
- タンク容量は2014年以降17Lに拡大されたが、ツーリング時はこまめな給油が必要
- 逆輸入車と国内仕様車の違いを確認し、部品供給面も考慮する必要がある