MBX50の最高速を解説!スペック・カスタム・中古相場完全ガイド

MBX50の最高速を解説!スペック・カスタム・中古相場完全ガイド

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MBX50の最高速について知りたい方にとって、このバイクは1982年の登場以来、多くのライダーを魅了し続けている伝説的な原付スポーツです。

当時の原付一種クラスでは異例の高性能を誇ったMBX50は、型式によって大きく異なる性能特性を持っています。初期型から規制対応型、そして最終型まで、それぞれ馬力やミッション構成に違いがあり、最高速にも大きな差が生まれました。水冷2ストロークエンジンを搭載したこのマシンは、適切なスペック理解が重要です。

また現在でも多くの愛好家がカスタムを楽しんでおり、ボアアップやチャンバー交換、スプロケット変更など様々な手法で性能向上を図っています。ただし改造には法的な制約も多く、正しい知識なしに手を出すのは危険です。

中古車市場でも高い人気を維持しているMBX50ですが、40年以上経過した現在では程度の良い車両を見つけるのは容易ではありません。購入時には型式による性能差や車両状態の見極めが重要になります。

この記事では、MBX50の最高速に関する基本知識から実践的なカスタム方法、さらには中古車選びのポイントまで、幅広い情報をお伝えします。

  • 型式別の馬力・ミッション構成と実際の最高速度の違い
  • ボアアップ・チャンバー交換・スプロケット変更による性能向上方法
  • 中古車選びで注意すべき型式判別ポイントと現在の相場
  • カスタム時に必要な法的手続きと安全性の注意点
目次

MBX50の最高速とスペック解説

MBX50

出典:HONDA公式

  • MBX50の馬力は?各型式別の出力
  • MBX50は何速ですか?ミッション構成
  • 規制前と規制後の性能差
  • 水冷エンジンの特徴と性能
  • 燃料タンク容量とツーリング性能

MBX50の馬力は?各型式別の出力

MBX50の馬力は型式によって大きく異なります。最も高出力だったのは初期型のAC03型で7.2馬力、その後の規制対応型では5.6馬力まで下がり、最終型のMBX50Fで再び7.2馬力に戻されました。

初期型のAC03型MBX50は、1982年に発売された水冷2ストロークエンジンを搭載したモデルです。このエンジンは最高出力7.2ps/8,500rpm、最大トルク0.65kg-m/7,500rpmを発揮していました。当時の原付一種クラスでは最高峰の性能を誇り、実測で90km/h以上の最高速度を記録していたのです。

しかし1984年には社会問題化した原付の高性能化に対応するため、A-AC08型として大幅な性能ダウンが実施されました。キャブレターをPF15型からPF11型に小径化し、エキゾーストマフラーにサブパイプを追加することで、最高出力は5.6ps/6,500rpm、最大トルクは0.63kg-m/6,000rpmまで抑えられたのです。

この規制対応モデルは販売不振に陥ったため、1985年にはMBX50Fとして再設計されました。エンジン出力は初期型と同等の7.2ps/8,500rpmに戻されましたが、CDI点火装置に60km/hで作動するスピードリミッター機能が追加されています。つまり馬力は高いものの、電子制御によって最高速度が制限される仕組みでした。

注意すべき点として、これらの馬力数値はメーカー自主規制による上限値でもありました。当時の原付一種は7.2馬力が上限とされており、実際のエンジン性能がこの数値を上回っていた可能性もあります。ただし公式スペックとしては、初期型とMBX50Fが7.2馬力、中期の規制対応型が5.6馬力というのが正確な数値です。

MBX50は何速ですか?ミッション構成

MBX50のミッションは型式によって異なり、初期型とMBX50Fが6速、中期の規制対応型のみ5速となっています。

初期型のAC03型MBX50には、常時噛合式6段リターンミッションが搭載されていました。各ギア比は1速3.545、2速2.333、3速1.722、4速1.380、5速1.173、6速1.041に設定されており、高回転域での伸びを重視した設計でした。この6速ミッションにより、7.2馬力のエンジンパワーを効率的に路面に伝達し、90km/h以上の最高速度を実現していたのです。

ところが1984年の規制対応型A-AC08型では、速度抑制の一環としてミッションが5速に変更されました。最高速度を60km/h程度に抑えるため、6速ギアを削除し、同時に1次/2次減速比も4.117/3.615へと変更されています。エンジン出力の低下と合わせて、機械的に高速走行を困難にする設計でした。

しかし前述の通り、この5速ミッション仕様は販売不振に陥ります。そこで1985年のMBX50Fでは再び6速ミッションが復活しました。ギア比も初期型と同等に戻され、エンジン性能の復活と合わせて走行性能が向上したのです。ただし電子制御のスピードリミッターにより、実用上の最高速度は制限されていました。

6速ミッションの利点は、エンジンの回転数を抑えながら高速巡航できることです。特に2ストロークエンジンは高回転域でパワーを発揮する特性があるため、細かくギア比が設定された6速ミッションは非常に有効でした。一方で5速仕様は、ギア間の差が大きくなるため、スムーズな加速には不利な面もありました。

現在中古車を探す際は、このミッション構成の違いを理解しておくことが重要です。走行性能を重視するなら6速の初期型かMBX50F、法定速度内での使用が中心なら5速の中期型という選択になるでしょう。

規制前と規制後の性能差

規制前と規制後の性能差

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MBX50の規制前と規制後では、まさに別物と言えるほど大きな性能差があります。規制前の初期型は実測90km/h以上の最高速度を誇っていましたが、規制後の中期型では75km/h程度まで性能が落ち込みました。

規制前のAC03型は、原付一種の概念を覆すような高性能マシンでした。7.2馬力のエンジンと6速ミッションの組み合わせにより、メーター読みで90km/h、条件が良ければ95km/h以上を記録していたのです。加速性能も優秀で、ゼロハンスポーツの中でも頭一つ抜けた存在として注目を集めていました。当時のユーザーからは「125ccバイクと変わらない」という評価も多く聞かれたほどです。

一方、1984年の規制対応型A-AC08型では性能が大幅にダウンしました。エンジン出力が5.6馬力に抑えられ、ミッションも5速に変更されたことで、最高速度は75km/h程度まで低下したのです。これは当時のスクーターとほぼ同等の性能であり、スポーツバイクとしての魅力が大きく損なわれる結果となりました。

この性能差の背景には、原付の高性能化による社会問題があります。法定速度30km/hの原付が90km/h以上で走行できることが問題視され、新聞でも「原付に90km/hの性能が必要なのか」という記事が掲載されるほどでした。そこで各メーカーが自主規制として60km/h以上出ないような対策を講じることになったのです。

興味深いのは、他メーカーの対応方法です。ヤマハやスズキは出力を維持したまま電子制御で速度を制限する方法を選択しました。しかしホンダだけは機械的にエンジン出力を下げる方法を採用したため、結果的に大幅な性能低下を招いてしまったのです。

この失敗を受けて、1985年のMBX50Fでは他メーカーと同様の電子制御方式に変更されました。エンジン出力は7.2馬力に戻され、CDIによる60km/hリミッターが装着されたのです。ただしリミッターはアフターパーツで解除可能だったため、実質的には規制前に近い性能を取り戻していました。

現在中古車を選ぶ際は、この性能差を十分理解しておく必要があります。走行性能を重視するなら初期型かMBX50F、街乗り中心なら中期型という選択になるでしょう。

水冷エンジンの特徴と性能

MBX50の水冷エンジンは、当時の原付では画期的な技術でした。ヤマハRZ50に続いて50ccクラスで2番目に採用された水冷システムにより、安定した冷却性能と高出力を両立させています。

水冷システムの最大の利点は、安定した冷却効果です。空冷エンジンでは外気温や走行条件によって冷却効果が左右されますが、水冷では冷却水とラジエーターにより一定の冷却性能を維持できます。これにより、MBX50は夏場の渋滞や連続高速走行でもオーバーヒートしにくい特性を持っていました。

エンジン本体は内径39.0mm×行程41.4mmのロングストローク設計で、排気量は49ccです。このボア×ストローク比は前身のMB5から引き継がれ、後のNSR50まで使用される基本設計となりました。ロングストロークエンジンの特徴として、低中速域でのトルクが太く、実用性の高い特性を示していたのです。

吸気系には、ホンダ独自の整流板付4葉リードバルブを採用しています。これは上下各2枚のリードバルブに整流板を組み合わせることで、混合気の流速を高め、吸気効率を向上させる技術です。この技術により、中低速域での使いやすさが向上し、扱いやすいエンジン特性を実現していました。

燃費性能も水冷エンジンの利点の一つです。安定した冷却により最適な燃焼温度を維持できるため、MBX50は73.0km/L(30km/h定地走行テスト値)という優秀な燃費を記録していました。これは12Lの大容量燃料タンクと相まって、長距離ツーリングを可能にする要素となったのです。

ただし水冷システムにはデメリットもあります。ラジエーターや冷却水の定期交換が必要で、メンテナンスコストは空冷エンジンより高くなります。また冬場の凍結対策や、冷却水漏れなどのトラブルリスクも考慮する必要があります。

それでも水冷エンジンの採用により、MBX50は当時の原付としては異例の高性能と信頼性を実現しました。この技術は後のホンダ2ストロークスポーツモデルの基礎となり、NSR50やNS-1などにも継承されていくことになります。

燃料タンク容量とツーリング性能

燃料タンク容量とツーリング性能

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MBX50の燃料タンク容量は12Lと、当時の原付としては異例の大容量でした。これは優秀な燃費性能と組み合わせることで、300km以上の航続距離を実現し、本格的なツーリングを可能にしていたのです。

12Lという容量は、同時代の125ccバイクと同等かそれ以上の数値でした。例えば同じホンダのCB125Tが11Lだったことを考えると、50ccでありながら中型バイク並みの燃料搭載量を誇っていたことがわかります。このボリューミーなタンクは、CBX400Fを彷彿させるデザインとしても注目を集めていました。

前述の通り、MBX50の燃費は73.0km/L(30km/h定地走行テスト値)という優秀な数値を記録していました。実用燃費でも45km/L程度は期待できたため、12Lのタンク容量と組み合わせると航続距離は500km以上に達していたのです。これにより日帰りツーリングでリザーブタンクまで使うことはほとんどなく、給油の心配をせずに走行を楽しめました。

ツーリング性能を支えるもう一つの要素が、車体設計です。MBX50はホイールベース1255mmのロング設計を採用し、250ccクラス並みの安定性を実現していました。前後18インチの大径ホイールと相まって、高速走行時の安定性は原付の域を超えていたのです。シート高770mmという適度な高さも、長距離走行での疲労軽減に貢献していました。

実際に当時のユーザーからは「乗鞍スカイラインで普通車を追い越した」「関門から久留米まで快適にツーリングできた」といった体験談が多く聞かれます。これは単に燃料タンクが大きいだけでなく、総合的なツーリング性能の高さを示しているでしょう。

ただし大容量タンクにはデメリットもあります。燃料満タン時の重量増加により、取り回しが重くなることがあります。また給油時の金額も高くなるため、学生には経済的負担となることもありました。

それでも12Lタンクの恩恵は絶大でした。後期のMBX50Fでは11Lに容量が減らされましたが、それでも十分なツーリング性能を維持していたのです。この大容量タンクこそが、MBX50を単なる高性能原付から本格的なツーリングマシンに押し上げた要素と言えるでしょう。

MBX50の最高速アップカスタム方法

  • ボアアップキットによる排気量拡大
  • チャンバー交換で性能向上
  • MBX50のCBX仕様カスタム
  • 族車風カスタムの定番パーツ
  • スプロケット交換による最高速調整
  • 中古車選びのポイントと相場
  • カスタム時の注意点と法的問題

ボアアップキットによる排気量拡大

MBX50のボアアップは、排気量を68.8ccや72ccに拡大することで大幅な性能向上を実現できるカスタムです。ただし法的な手続きや技術的な知識が必要で、初心者には難易度の高い改造と言えるでしょう。

ボアアップの基本は、純正49ccのシリンダーとピストンを大径のものに交換することです。MBX50の場合、NSR50やNS-1用のボアアップキットが流用できるため、比較的パーツの入手は容易でした。一般的なキットでは68.8ccまたは72ccへの拡大が可能で、排気量の増加に比例してパワーアップが期待できます。

68.8ccボアアップの場合、排気量は約40%増加するため、出力も大幅に向上します。ノーマルで7.2馬力だったエンジンが、適切なセッティングを行えば10馬力以上の出力を発揮することも珍しくありません。最高速度も100km/h以上が可能となり、まさに原付二種並みの性能を手に入れることができるのです。

ただしボアアップには多くの注意点があります。まず法的な問題として、排気量が50ccを超えると原付二種への登録変更が必要です。これに伴い自賠責保険や任意保険の変更、運転免許も原付免許では運転できなくなります。また車検や定期点検の義務も生じるため、維持費用も大幅に増加することになります。

技術的な課題も多数存在します。シリンダーとピストンの交換だけでは適切に動作せず、キャブレターのセッティング変更が必須です。メインジェットやスロージェットの番手変更、場合によってはビッグキャブレターへの交換も必要になります。またチャンバーも排気量に合わせた専用品に交換しなければ、本来の性能を発揮できません。

組み付けに関しても専門知識が求められます。ピストンがヘッドに当たらないようベースガスケットの調整、排気ポート位置の調整、マフラー取り付け部の加工など、多岐にわたる作業が必要です。冷却系統も熱量増加に対応するため、サーモスタットの取り外しやラジエーターの容量アップを検討する必要があります。

費用面でも相当な出費を覚悟する必要があります。ボアアップキット自体は数万円程度ですが、キャブレターやチャンバーの交換、工賃などを含めると10万円以上の費用がかかることも珍しくありません。また組み付け後のトラブル対応や、消耗品の交換頻度も高まるため、長期的な維持費用も考慮しておくべきでしょう。

それでもボアアップによる性能向上は魅力的です。適切に施工されたボアアップエンジンは、ノーマルとは次元の違う加速性能と最高速度を実現します。ただし相応のリスクと費用を伴うため、十分な検討と準備が必要な改造と言えるでしょう。

チャンバー交換で性能向上

チャンバー交換で性能向上

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MBX50のチャンバー交換は、比較的手軽に性能向上を図れるカスタムの一つです。2ストロークエンジンの特性上、排気系の変更による効果は大きく、適切なチャンバーを選択すれば最高速度や加速性能の向上が期待できます。

2ストロークエンジンにおいて、チャンバーは単なる排気管ではありません。排気脈動を利用してシリンダー内の掃気効率を高める重要な役割を担っているのです。純正チャンバーは静粛性や環境性能を重視した設計のため、性能面では余裕を残しています。社外チャンバーに交換することで、この潜在能力を引き出すことが可能になります。

MBX50用の社外チャンバーとしては、ヨコタやリップスなどのメーカーが製品を供給していました。これらのチャンバーは純正品よりも排気効率を重視した設計で、特に高回転域での性能向上が期待できます。適切にセッティングされたチャンバーであれば、ノーマル状態から5-10km/h程度の最高速度向上は十分に可能でした。

チャンバーの選択においては、使用目的を明確にすることが重要です。最高速重視のチャンバーは高回転域でのパワーが向上しますが、低中速域のトルクが細くなる傾向があります。逆に街乗り重視のチャンバーは扱いやすい特性を保ちつつ、全域でのパワー向上を図れます。自分の使用用途に合ったチャンバーを選択することが性能向上の鍵となるでしょう。

取り付けに関しては、フランジ形状が合えば比較的簡単な作業です。MBX50、NSR50、NS-1、CRM50などは同じフランジ形状のため、これらの車種用チャンバーは流用可能でした。ただしステーの取り付け位置や角度調整が必要な場合が多く、場合によってはステーの加工や製作が求められます。

チャンバー交換時にはキャブレターのセッティング変更も必要です。排気効率が向上すると燃調が薄くなる傾向があるため、メインジェットの番手を上げる必要があります。適切なセッティングを行わないと、エンジンの焼き付きリスクが高まるため注意が必要です。

純正チャンバーの改造という選択肢もありますが、あまり推奨できません。単純に切断するだけでは低中速域のトルクが大幅に落ち込み、実用性が著しく低下します。また音量も大幅に増加するため、近所迷惑や騒音規制の問題も生じるでしょう。

費用面では、社外チャンバーは新品で3-5万円程度、中古品なら1-2万円程度で入手可能でした。取り付け工賃やキャブセッティング費用を含めても、比較的手頃な価格で性能向上を図れるカスタムと言えます。

ただし注意すべき点として、チャンバー交換により騒音レベルが上昇することがあります。住宅地での使用や深夜早朝の走行では、周囲への配慮が必要でしょう。また車検対応品でない場合は、将来的に問題となる可能性もあります。

適切に選択・施工されたチャンバーは、MBX50の性能を大きく向上させてくれます。ただし目的に応じた製品選択と、適切なセッティングが成功の鍵となることを忘れてはいけません。

MBX50のCBX仕様カスタム

MBX50のCBX仕様カスタムは、当時大人気だったCBX400Fのスタイリングを原付で再現する人気の改造でした。MBX50のタンク形状がCBXに酷似していたこともあり、「原付版CBX」として多くのファンに愛されていたのです。

CBX仕様カスタムの核となるのは、専用のテールカウルです。CBXテールと呼ばれるこのパーツは、MBX50専用品が複数のメーカーから発売されていました。イモビーなどのアフターパーツメーカーが手がけたテールカウルは、本家CBX400Fを忠実に再現したデザインで、装着するだけでMBX50の印象を大きく変えることができました。

カラーリングもCBX仕様の重要な要素です。代表的なのは赤白のCBXカラーと赤黒のCBXカラーで、多くのオーナーがこれらの配色でフルペイントを施していました。タンクのボリューミーな形状がCBXそっくりだったため、カラーリングを変更するだけでも十分にCBX風の雰囲気を演出できたのです。

ハンドル周りの変更も定番カスタムでした。セパレートハンドルへの交換により、よりスーパースポーツらしいライディングポジションを実現できます。当時人気だったスワローハンドルやコンドルハンドルなど、様々な形状のセパハンが選択可能でした。ただしハンドル交換時には、アッパーカウルの切り欠き加工が必要になることが多くありました。

足回りのカスタムでは、バックステップの装着が人気でした。純正のステップ位置よりも後方・上方に移設することで、よりスポーティなライディングポジションを実現できます。ただし原付という制約もあり、あまり極端なポジション変更は実用性を損なうリスクもありました。

タイヤのサイズアップも効果的なカスタムでした。純正の前2.50-18、後2.75-18から、前後ともに3.00-18まで拡大することが可能でした。太いタイヤにより接地感が向上し、見た目のボリューム感も増すため、CBX風の迫力あるスタイリングに近づけることができたのです。

ミラーやウインカーの変更も重要な要素でした。当時の定番だったナポレオンミラーや、やや大きめのヨーロピアンウインカーに交換することで、より本格的なスーパースポーツ風の外観を演出できました。ただしナポレオンミラーは転倒時に割れやすいという欠点もありました。

CBX仕様カスタムの魅力は、比較的手軽に本格的なスーパースポーツ風の外観を実現できることでした。MBX50の基本的なプロポーションが優秀だったため、パーツ交換だけでも十分な変身効果が得られたのです。

ただし現在では専用パーツの入手が困難になっています。CBXテールなどの専用品は製造終了から長期間が経過しており、中古品も希少な状況です。また当時のアフターパーツは品質にばらつきがあったため、購入時には十分な確認が必要でしょう。

費用面では、フルカスタムを行う場合は相当な出費を覚悟する必要があります。テールカウル、ペイント、ハンドル周り、足回りなどを総合すると、車両価格を上回る費用がかかることも珍しくありませんでした。

それでもCBX仕様の完成度は非常に高く、多くのオーナーが満足度の高いカスタムを楽しんでいました。現在でも当時のCBX仕様MBX50は高い人気を維持しており、程度の良い車両は高値で取引されています。

族車風カスタムの定番パーツ

MBX50の族車風カスタムは、1980年代のバイクブーム全盛期に流行したスタイルです。派手なカラーリングと個性的なパーツで武装したMBX50は、当時の若者文化を象徴する存在でもありました。

族車カスタムの代表的な要素の一つが、大型のアッパーカウルとアンダーカウルです。純正よりも大幅に大型化されたカウルにより、迫力のある外観を演出できました。特にアッパーカウルは角型ヘッドライトを覆うように設計され、レーシーな印象を強調していたのです。後期のMBX50Fでは純正でビキニカウルが装着されましたが、族車カスタムではさらに大型のものに交換するのが定番でした。

カラーリングは族車カスタムの最も重要な要素です。単色ではなく、複数色を組み合わせた派手な塗装が好まれました。特に蛍光色や原色を使った目立つカラーリングが人気で、オレンジ、イエロー、ピンクなどの鮮やかな色彩が多用されていました。またグラフィックデザインにも凝り、炎や稲妻のパターンを描き込むことも珍しくありませんでした。

マフラーの改造も族車カスタムの定番でした。純正チャンバーを切断してサイレンサーを取り外し、直管状態にすることで大音量を実現していたのです。ただしこの改造は騒音問題を引き起こし、近隣住民からの苦情や警察の取り締まり対象となることが多くありました。また低中速域でのトルク不足も深刻で、実用性を大きく損なうデメリットがありました。

ハンドル周りでは、極端に絞り込んだセパレートハンドルが人気でした。通常のセパハンよりもさらに低く、内側に絞り込んだポジションにより、レーサーレプリカ風の外観を演出していました。ただしこのようなハンドルポジションは、日常使用では非常に疲れやすく、長距離走行は困難でした。

シートやタンデムシートの変更も行われていました。純正のレッドシートから、カラーリングに合わせたカスタムシートに交換することで、統一感のある外観を実現できました。また一部では、タンデムシートを大型化してより迫力のあるスタイリングにする改造も見られました。

ステッカーやエンブレムの追加も族車カスタムの特徴です。車体各部に派手なステッカーを貼り付けることで、より個性的な外観を演出していました。特にレーシングチームやタイヤメーカーのステッカーは人気が高く、本格的なレーサー風の雰囲気を醸し出していたのです。

ホイールのカスタムでは、スポークホイールへの交換が行われることもありました。純正のコムスターホイールから、細いスポークを持つレーシングホイールに交換することで、よりレーサーレプリカらしい外観を実現できました。ただしホイール交換は費用が高く、実際に行うオーナーは限られていました。

族車カスタムの問題点として、騒音や見た目の派手さによる社会的な反発がありました。大音量のマフラーは近隣住民に迷惑をかけ、派手な外観は一般の人々に威圧感を与えることもありました。また警察からの職務質問を受ける頻度も高く、日常使用には不便な面もあったのです。

現在では族車カスタムは下火になっていますが、当時の文化を知る貴重な資料としての価値があります。ただし現代でこのようなカスタムを行う場合は、騒音規制や周囲への配慮を十分に考慮する必要があるでしょう。

スプロケット交換による最高速調整

スプロケット交換による最高速調整

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MBX50のスプロケット交換は、エンジンに手を加えることなく最高速度や加速性能を調整できる手軽なカスタムです。フロントまたはリアのスプロケットの歯数を変更することで、車両の性格を大きく変えることができます。

スプロケットの基本的な仕組みを理解することが重要です。フロントスプロケットの歯数を増やす、またはリアスプロケットの歯数を減らすと最高速度が向上しますが、加速力は低下します。逆にフロントの歯数を減らす、またはリアの歯数を増やすと加速力が向上しますが、最高速度は低下するのです。

MBX50の場合、フロントスプロケット1丁の変更がリアスプロケット3丁分の効果に相当します。そのためコストパフォーマンスを考えると、フロントスプロケットの変更が一般的でした。フロントスプロケットは1枚でリアスプロケット2枚分の価格で購入できるため、経済的なメリットも大きかったのです。

最高速重視のセッティングでは、フロントスプロケットを1-2丁大きくするのが効果的です。ノーマルで90km/h程度だった最高速度を、95-100km/h程度まで向上させることが可能でした。ただしこの場合、低速域でのトルク不足が顕著になるため、発進時や坂道での加速が鈍くなるデメリットがあります。

逆に加速重視のセッティングでは、リアスプロケットを2-3丁大きくする方法が取られていました。この変更により、信号待ちからの発進加速や、峠道での登坂性能が大幅に向上します。ただし最高速度は80km/h程度まで低下するため、高速走行が多い用途には不向きでした。

ボアアップ車両の場合、スプロケット変更はほぼ必須の作業でした。排気量が増加してもスプロケットがノーマルのままでは、エンジンが高回転まで回り切ってしまい、本来の性能を発揮できません。68.8ccボアアップの場合、フロントを1-2丁大きくするか、リアを3-6丁小さくすることで、適切なギア比に調整する必要がありました。

スプロケット交換の作業自体は比較的簡単です。フロントスプロケットの場合、エンジンスプロケットカバーを外してボルトを緩めるだけで交換できます。リアスプロケットも後輪を外せば交換可能で、特殊な工具は必要ありません。ただしチェーンの張り調整は確実に行う必要があります。

チェーンとの組み合わせも重要な要素です。スプロケットを大幅に変更する場合、チェーンの長さ調整や交換が必要になることがあります。MBX50の場合、420サイズ118リンクのチェーンが標準でしたが、スプロケット変更時にはリンク数の調整が求められました。

費用面では、スプロケット交換は非常に経済的なカスタムでした。フロントスプロケットは数千円、リアスプロケットでも1万円程度で購入できたため、学生でも手軽に試すことができました。また効果が気に入らなければ純正に戻すことも容易で、リスクの少ないカスタムと言えるでしょう。

ただし注意すべき点もあります。極端なスプロケット変更は、チェーンラインを乱したり、チェーンとスイングアームの干渉を引き起こす可能性があります。また大幅なギア比変更は、エンジンやトランスミッションに予期しない負荷をかけるリスクもあるため、適度な範囲での変更に留めることが賢明でした。

中古車選びのポイントと相場

MBX50の中古車選びでは、型式による性能差と車両の状態を慎重に見極めることが重要です。現在では製造から40年以上が経過しているため、程度の良い車両は希少価値が高く、相場も上昇傾向にあります。

まず型式による違いを理解することが必要です。最も人気が高いのは初期型のAC03型で、7.2馬力の高性能と6速ミッションを備えています。この型式は90km/h台の最高速度を誇り、現在でも高い評価を受けているのです。一方、中期の規制対応型A-AC08型は5.6馬力で5速ミッションのため、性能面では大きく劣ります。最終型のMBX50Fは7.2馬力に復活していますが、60km/hリミッターが装着されている点に注意が必要です。

外観での型式判別ポイントがいくつかあります。初期型はアンダーカウルが装着されておらず、タンクのMBXロゴが比較的小さめです。中期型はアンダーカウルが標準装備され、タンクに大きくMBXと表記されています。MBX50Fはビキニカウルが特徴的で、燃料タンク容量も11Lに変更されているのです。

エンジンの状態確認は最も重要なポイントです。2ストロークエンジンは4ストロークに比べて摩耗が早いため、圧縮圧力の確認が不可欠でしょう。理想的には専用ゲージでの測定が望ましいですが、最低でもキックペダルの重さで大まかな状態を判断できます。また白煙の量や色、アイドリングの安定性なども重要な判断材料となります。

冷却系統のチェックも欠かせません。水冷エンジンのMBX50では、ラジエーターの状態やホース類の劣化、冷却水の汚れ具合を確認する必要があります。オーバーヒート歴のある車両は、エンジン内部にダメージを受けている可能性が高いため避けるべきでしょう。

足回りやフレームの状態も重要です。長期間の使用により、サスペンションのへたりやフレームのゆがみが生じていることがあります。特にプロリンクサスペンションは、リンク部分の摩耗やブッシュの劣化が起きやすいため、念入りな確認が必要です。

電装系統では、CDIやレギュレーターなどの電子部品の動作確認が重要です。これらの部品は経年劣化により故障しやすく、交換部品の入手も困難になっています。ヘッドライトやウインカーの動作、メーターの表示などを総合的にチェックしましょう。

現在の相場は車両の状態により大きく異なります。程度の良いノーマル車両であれば30-60万円程度、コンディションの優秀な初期型では70万円を超える場合もあります。逆に不動車や部品取り車両でも10-20万円程度の値が付いており、全体的に高値安定の傾向です。

カスタム車両の場合、改造内容によって評価が分かれます。CBX仕様などの人気カスタムは高値で取引される傾向がありますが、過度な改造車両は敬遠されることも多いでしょう。また改造車両では、純正部品の有無も重要な評価ポイントとなります。

購入時の注意点として、アフターサービスの問題があります。現在MBX50を扱える整備工場は限られており、部品の入手も困難な状況です。そのため購入前に、整備やメンテナンスを依頼できる工場を確保しておくことが重要でしょう。

書類関係も忘れずに確認する必要があります。自賠責保険証書、車検証、取扱説明書などが揃っているかチェックし、特に改造車両では構造変更申請の有無も確認しておきましょう。

カスタム時の注意点と法的問題

カスタム時の注意点と法的問題

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MBX50のカスタムを行う際は、法的な規制と安全性の両面から注意すべき点が多数あります。特に排気量変更を伴うカスタムでは、複雑な手続きが必要になるため、事前の理解が不可欠です。

最も重要な法的問題は、ボアアップによる排気量変更です。MBX50を50cc超にボアアップした場合、原付二種への登録変更が法的に義務付けられています。この手続きを怠ると、無免許運転や無車検運転に該当し、重い罰則を受ける可能性があります。排気量51cc以上では原付免許での運転はできず、最低でも小型限定普通二輪免許が必要になるのです。

登録変更手続きは複雑で費用もかかります。まず陸運支局での構造変更検査を受け、改造申請書や工作証明書などの書類を提出する必要があります。検査手数料だけでも数万円かかり、場合によっては専門業者への依頼が必要になることもあるでしょう。また年一回の定期点検や車検も義務となるため、維持費も大幅に増加します。

保険関係の変更も忘れてはいけません。自賠責保険は排気量に応じて保険料が異なるため、ボアアップ後は原付二種用への変更が必要です。任意保険も同様で、正しい排気量で契約していなければ、事故時に保険金が支払われない可能性があります。

マフラー改造についても厳格な規制があります。騒音規制値を超えるマフラーは車検不適合となり、公道走行はできません。また住宅地での騒音トラブルは民事問題に発展することもあるため、近隣への配慮が不可欠です。純正マフラーの切断は、確実に騒音規制値を超えるため避けるべきでしょう。

灯火類の改造にも注意が必要です。ヘッドライトやウインカーの変更は、保安基準適合品を使用し、適切な光度や点滅周期を維持する必要があります。LEDへの変更時は、特に配光パターンや光量の確認が重要で、車検時に問題となることがあります。

ハンドル位置の変更も保安基準の対象です。極端なセパレートハンドルは、ハンドル高さが基準を満たさない場合があり、車検に通らない可能性があります。また実用性を著しく損なうハンドルポジションは、日常使用で危険を伴うこともあるでしょう。

タイヤサイズの変更では、車検証記載サイズからの大幅な変更は認められません。また極端なサイズ変更は、スピードメーターの誤差を生じさせ、速度超過の原因となることもあります。適正な空気圧管理も含めて、安全性を最優先に考える必要があります。

電装系の改造では、容量不足による電圧降下や、配線の発火リスクに注意が必要です。HIDヘッドライトや大音量オーディオの追加は、充電系統に過大な負荷をかける可能性があります。また素人工事による配線不良は、火災事故の原因となることもあるため、専門知識が不可欠でしょう。

カスタムパーツの品質問題も深刻です。特に海外製の安価なパーツは、材質や加工精度に問題があることが多く、走行中の破損事故を引き起こすリスクがあります。信頼できるメーカーの製品を選択し、定期的な点検を怠らないことが重要です。

改造車両の売却時にも問題が生じることがあります。大幅な改造車両は買取価格が大幅に下がることが多く、場合によっては買取を拒否されることもあります。また改造内容によっては、純正部品への復元が求められることもあるでしょう。

これらの問題を避けるためには、カスタム前に十分な調査と計画が必要です。法的な手続きの確認、信頼できる整備工場の確保、適切な保険への加入など、多角的な準備を行うことが成功の鍵となります。また改造の範囲を適切に限定し、安全性と合法性を両立させることが何より重要でしょう。

総括:MBX50の最高速を解説!スペック・カスタム・中古相場完全ガイド

この記事をまとめると、

  • 初期型AC03は7.2馬力・6速で実測90km/h以上の最高速を記録
  • 規制対応型A-AC08は5.6馬力・5速で最高速75km/h程度まで低下
  • MBX50Fは7.2馬力に復活したが60km/hの電子リミッターを装備
  • 水冷2ストロークエンジンで安定した冷却性能と高出力を両立
  • 12L大容量タンクで航続距離500km以上のツーリング性能を実現
  • ボアアップで68.8ccまで拡大可能だが原付二種登録が必要
  • チャンバー交換で5-10km/h程度の最高速向上が期待できる
  • フロントスプロケット交換が最高速調整の基本カスタム
  • CBX仕様カスタムは専用テールカウルで本格スポーツ風に変身
  • 族車風カスタムは派手なカラーリングと大型カウルが特徴
  • 中古相場は程度良好車で30-60万円、初期型は70万円超も
  • 型式判別は外観でアンダーカウルやビキニカウルの有無を確認
  • エンジン状態はキックペダルの重さや白煙量で判断可能
  • ボアアップ時は登録変更・保険変更・免許変更が法的義務
  • マフラー改造は騒音規制値を超えると車検不適合となる
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