
出典:YAMAHA公式
ヤマハFZ400をフルパワー化したいと考えている方へ向けた情報をお届けします。FZ400は水冷4気筒エンジンを搭載した400ccクラスのバイクで、標準で53psの出力を発揮しますが、適切なカスタムによって70ps前後までパワーアップさせることが可能です。
本記事では、FZ400のスペックや性能を詳しく解説し、フルパワー化のための具体的な方法をご紹介します。キャブレター交換や排気系の改良によって最高速度はどこまで伸びるのか、どのようなパーツ選びが効果的なのか、そしてセッティングのポイントまで徹底解説しています。
1997年から短期間しか生産されなかった希少なFZ400ですが、そのポテンシャルを最大限に引き出すためのカスタム情報をぜひ参考にしてください。
- FZ400のフルパワー化で実現可能な馬力と最高速度の具体的な数値
- 効果的なパワーアップのためのキャブレター、マフラー、エアクリーナーの選び方
- フルパワー化に伴うセッティングの重要性と具体的な調整方法
- 中古パーツの活用方法と相場感を含めたコスト面の現実的な対策
FZ400のフルパワー化を実現する方法
じょじょが徹底的に斬る!
「ヤマハFZ400」!【徹底インプレッション】
デカい pic.twitter.com/dMM9CowJJi— じょじょ (@jojokun_mighty) August 26, 2023
- FZ400の基本スペックと特徴
- FZ400のエンジン特性
- どれくらい馬力・最高速は向上する?
FZ400の基本スペックと特徴
FZ400は、ヤマハが1997年に発売した400ccクラスのオートバイです。エンジンは水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブを採用し、最高出力は当時の自主規制値上限である53ps/11,500rpm、最大トルクは3.8kgm/9,500rpmを発揮します。圧縮比は11.7:1とやや高めに設定されています。
車体は「"ネイキッドを超えた新スポーツマルチ"」というコンセプトで開発され、ハーフカウルを標準装備。全長2080mm、全幅715mm、全高1170mmと400ccクラスとしてはやや大柄なボディサイズで、ホイールベースは1420mm、最低地上高は130mm、シート高は785mmです。
乾燥重量は177kg、車両重量は199kgとクラス標準レベル。燃料タンク容量は18Lと大きく、60km/h定地走行時の燃費はカタログ値で35km/Lとされています。実燃費は走行状況によりますが、市街地で18-20km/L、高速道路で20-25km/L程度が目安となるでしょう。
足回りは、フロントに正立フォーク、リアにモノショックのスイングアームを採用。ブレーキはフロントにブレンボ製キャリパーを採用した油圧式ダブルディスク、リアに油圧式シングルディスクを装備しています。タイヤサイズはフロントが110/70R17、リアが160/60R17で、400ccクラスとしては太めのリアタイヤが特徴です。
特筆すべき点として、FZ400はヨーロッパで人気を博したFZS600(通称:フェイザー)と多くの車体部品を共有しており、エンジンのみを日本の免許制度に合わせて399ccにスケールダウンしたモデルであることです。このため、欧州車譲りの安定感あるハンドリングと、ネイキッドバイクの扱いやすさ、そしてハーフカウルによる高速走行時の快適性を兼ね備えています。
しかし、発売当時はそのデザインが受け入れられにくかったことや、1996年の免許制度改正により大型二輪免許の取得が容易になった時期と重なったことも影響し、残念ながら約2年という短期間で生産終了となりました。現在では希少車となり、状態の良い車両は中古市場で高値で取引される傾向にあります。
実用面では、シート下に大容量の収納スペース(当時のカタログでは「VHSビデオテープ6本分」と表現されるほど)があり、レインウェアなどの収納に便利です。また、燃料計を標準装備している点も、当時の400ccクラスとしては珍しく、ユーザーフレンドリーな設計と言えます。
FZ400のエンジン特性
小型・軽量ハーフカウル、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーなどを装備し、ネイキッドモデルならではの乗りやすさ、使い勝手のよさとスーパースポーツらしいパワフルなエンジン性能、軽快なコーナリング性能、高速域での快適性を融合させたFZ400もハタチになりました! pic.twitter.com/3TKX2FLe06
— ヤマハ バイク (@yamaha_bike) January 9, 2017
FZ400に搭載される水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジン(ボア56mm×ストローク40.5mm)は、高回転域でのパワーを発揮する一方で、中低速域でも比較的扱いやすいトルク特性を持っています。このバランスの良さにより、街乗りからツーリング、ワインディングでのスポーツ走行まで、幅広い用途に対応できる汎用性の高さが魅力です。
ただし、オーナーからはいくつかの特徴的な傾向も指摘されています。キャブレターのパイロット系が詰まりやすく、アイドリングが不安定になることがあるため、定期的なメンテナンスが推奨されます。また、カムチェーン周りからのエンジンノイズがやや大きめであることや、8,000rpmを超えたあたりから振動が増加する傾向も報告されています。とはいえ、6,000〜7,000rpm付近では心地よいエンジンサウンドと共に力強い加速を楽しめます。
どれくらい馬力・最高速は向上する?

Ride Style・イメージ
FZ400の本来のポテンシャルは、国内の自主規制に合わせて抑えられています。特に吸排気系には制限があり、これらを見直す「フルパワー化」によって、大幅な性能向上が可能です。
適切なカスタムとセッティングを行えば、最高出力はノーマルの53psから70ps前後まで向上させることも夢ではありません。これは、兄貴分であるFZS600(約95ps)のエンジンと基本設計を共有していることからも裏付けられます。
最高速度も同様に向上します。ノーマル状態ではメーター読みで180km/h付近(実測では160km/h程度)で作動するリミッターがありますが、フルパワー化により実測で200km/hを超えることも可能とされています。実際に、適切なチューニングを施した車両で200km/hオーバーを記録したというオーナー報告もあります。(※ただし、公道での最高速度は法定速度を遵守してください。)
これらの数値向上は、単に速さだけでなく、高速道路などでの巡航時の余裕にも繋がります。同じ速度でもエンジン回転数を低く抑えられるため、振動や騒音が低減し、より快適なライディングが期待できます。
フルパワー化による変化(目安)
- 最高出力: 53ps → 70ps前後(約30%増)
- 最高速度: 約160km/h → 200km/h以上(約25%増)
- 加速性能: 0-100km/h加速タイム短縮
- 巡航回転数: 同速度での回転数が低下し、静粛性・快適性向上
ただし、これらの効果を得るには適切なパーツ選択とセッティングが不可欠です。また、パワーアップに伴い、燃費はノーマル比で10〜15%程度悪化する傾向がある点、そしてパワーバンドの変化などにより街乗りでの扱いやすさが若干犠牲になる可能性がある点も考慮する必要があります。
FZ400フルパワー化の具体的な手段とパーツ選び
そう言えばバイク購入しました!!!!
既に原型かなり消え去ったヤマハfz400やけど格安やったんでお漏らしとか酷くて治さないと乗れぬ!
カスタムの方向性は割と自分好みな方なんで後はいらんパーツ外したりハンドル・車高調整とかちょこちょこしてこ思てます〜
色々教えてください☺️ pic.twitter.com/QaH813ZOSN— あわじ (@BKYLs2k) February 16, 2023
- キャブレター交換
- マフラーカスタム
- エアクリーナーカスタム
- フルパワー化の注意点まとめ
フルパワー化の主な手段は、吸排気系のカスタムです。エンジン本体に手を入れる(ボアアップ、ハイカム導入など)ことで更なるパワーアップも可能ですが、ここでは比較的ポピュラーな吸排気系のカスタムについて解説します。
キャブレター交換
馬力アップに最も効果的なカスタムの一つです。純正キャブレターの制限を取り払い、より多くの混合気をエンジンに送り込みます。
キャブレタータイプ | メリット | デメリット | 馬力向上の目安(※) |
---|---|---|---|
純正キャブレター | 扱いやすい、気候変化に強い | パワーが抑えられている | 基準 (53ps) |
FZS600用 純正キャブ流用 | 比較的安価、セッティング容易 | 効果は限定的、他のボトルネックが残る | 約5-8ps向上 |
FCRキャブレター (社外) | 大幅なパワーアップ、レスポンス向上 | 高価、セッティング難易度高、要加工の場合あり | 約10-15ps向上 |
TMRキャブレター (社外) | 大口径、高回転パワー、レース志向 | 非常に高価、セッティング繊細、街乗り不向きな面も | 約12-17ps向上 |
-
※馬力向上の目安は、他のカスタム(マフラー、エアクリ)との組み合わせやセッティングによって大きく変動します。
-
FZS600用キャブ流用: 手軽でコストを抑えられますが、効果は限定的です。
-
FCR/TMRキャブ: 大幅なパワーアップが期待できる反面、高価でセッティングがシビアになります。特にFCR(フラット・キャブレター・レーシング)はレスポンス向上効果が高く人気ですが、FZ400用は加工前提の場合が多いです。TMR(ミクニ製)も高性能ですが、FCR以上にセッティングがシビアな傾向があります。
- FCRの注意点: しばしば「気候の影響を受けやすい」と言われますが、これはセッティングが適切でない場合に顕著になります。公道ユースであれば、適切なセッティングで年間を通して安定した走行が可能です。価格は本体だけで10万円前後、取り付け・セッティング工賃も必要です。
キャブレター交換後のセッティング: 交換後は必ずセッティングが必要です。メインジェット、パイロットジェット(スロージェット)、ジェットニードル、エアスクリューなどを調整し、最適な空燃比を探ります。セッティングを怠ると、アイドリング不安定、低速トルク不足、パワーダウン、最悪の場合はエンジン破損に繋がる可能性もあります。専門知識がない場合は、信頼できるショップに依頼するのが賢明です。
マフラーカスタム

Ride Style・イメージ
排気効率を改善し、パワーとトルク特性を向上させます。「スリップオン」と「フルエキゾースト」の2種類があります。
マフラータイプ | メリット | デメリット | 馬力向上の目安(※) | 価格帯(目安) |
---|---|---|---|---|
純正マフラー | 静か、車検対応 | 重い、排気効率が低い | 基準値 | - |
スリップオン | 取付容易、比較的安価、軽量化、サウンド向上 | 効果限定的、エキパイ制限残る、要セッティング | 約3-5ps向上 | 3〜8万円 |
フルエキゾースト | 大幅なパワー/トルク向上、大幅な軽量化、サウンド | 高価、取付難易度高、キャブセッティング必須 | 約8-12ps向上 | 8〜15万円 |
レース用マフラー | 最大限のパワー、超軽量 | 非常に高価、車検非対応、騒音大、セッティング複雑 | 約10-15ps向上 | 10〜20万円 |
-
※馬力向上の目安は、他のカスタム(キャブ、エアクリ)との組み合わせやセッティングによって大きく変動します。
-
スリップオン: サイレンサー部分のみを交換。手軽にサウンドや見た目を変えられますが、パワーアップ効果は限定的です。FZ400の場合、純正エキパイとの組み合わせでは抜けが悪く、高回転の伸び悩みに繋がる可能性も指摘されています。
-
フルエキゾースト: エキパイからサイレンサーまで全て交換。排気効率が大幅に向上し、パワーアップと軽量化の効果が最も大きいですが、高価でキャブレターの再セッティングが必須となります。セッティングなしでは、低速トルクが極端に落ち込むなど、かえって乗りにくくなる場合があります。
-
素材: ステンレス(耐久性・価格)、チタン(軽量・高価)などがあります。
-
ブランド: SP忠男、アサヒナレーシング、WR'SなどがFZ400用として実績があります。XJR400用が流用できる場合もありますが、加工が必要なケースもあるため確認が必要です。
-
注意点: 社外マフラーは音量が大きくなる傾向があります。車検対応品を選び、バッフルの着脱などは法規や周囲への影響を考慮して行いましょう。
エアクリーナーカスタム
FZ400買いました!!!
かっけえ〜 pic.twitter.com/uY1YsC0mcC— たなこう (@T_k_vlt) April 6, 2024
吸気効率を高めるためのカスタムです。キャブレターやマフラー交換と組み合わせることで相乗効果が期待できます。
- FZS600用エアクリーナーカバー流用: 手軽に吸気量を増やせますが、効果は限定的です。
- 社外エアフィルター交換: 純正交換タイプの高効率フィルター(K&Nなど)に交換します。比較的簡単です。
- パワーフィルター化/ラムエア化: 純正エアクリーナーボックスを取り外し、キャブレターに直接フィルターを装着する方法。吸気効率は最大になりますが、吸気音が大きくなる、雨天時の水の吸い込みリスク、セッティングのシビア化などのデメリットがあります。
- エアクリーナーボックス加工: ボックスに吸気口を追加するなどの加工。効果は加工内容によります。
エアクリーナーカスタム後のセッティング: 吸気量が変わるため、キャブレターの再セッティングが必須です。特にメインジェットやスロージェットの番手変更、ニードル位置調整などが必要になります。
中古パーツの活用
FZ400は生産期間が短かったため、専用の新品カスタムパーツは限られます。コストを抑えるために中古パーツを活用するのも有効な手段です。
- 相場(目安):
- 中古FCRキャブ: 3〜8万円
- FZS600用純正キャブ: 1〜3万円
- 中古スリップオンマフラー: 1〜4万円
- 中古フルエキマフラー: 3〜8万円
- FZS600用エアクリカバー: 5千円〜1万5千円
- 注意点:
- 状態確認: 傷、破損、変形、内部の錆や摩耗などをよく確認する。
- 互換性: FZS600やXJR400用パーツを流用する場合、加工が必要か事前に調べる。「加工なしで取り付け可能」とあっても微調整が必要な場合も。
- 消耗品: ガスケット等は別途必要になることが多い。
- 信頼性: 販売者の評価を確認する。可能なら動作保証のあるショップから購入する。
- カウル類: 破損しやすく良品は希少。状態の良いものが見つかれば早めの確保を検討。
中古パーツは、クリーニングや簡単なメンテナンスを行ってから装着するのが望ましいです。
フルパワー化の注意点まとめ
お尻の位置がちょっと決まらんぐらいで、スイスイ走れて乗りやすいしパワーも必要充分、カウルもソコソコ効果あるし遠出もしっかりできそう!
いいバイク!買って良かったFZ400 pic.twitter.com/dLp6b4qadW
— たまに過激な事をつぶやく小さくてかわいいごりむち(まーぼー) (@R35_8008) March 29, 2025
- セッティングの重要性: キャブレター、マフラー、エアクリーナーを変更した場合、必ずキャブレターの再セッティングが必要です。これを怠ると性能低下やエンジントラブルの原因となります。
- コスト: 本格的なフルパワー化には、パーツ代と工賃を含め、相応の費用がかかります。予算と求める性能のバランスを考えましょう。
- 乗り味の変化: パワーアップに伴い、低速トルクの減少や、パワーバンドの変化など、乗り味が変わる可能性があります。街乗りでの扱いやすさが若干損なわれることも考慮しましょう。
- バランス: エンジンパワーだけでなく、ブレーキやサスペンションなど、車体全体のバランスも考慮したカスタムが理想です。
- 法規遵守: マフラーの音量など、法規を遵守したカスタムを心がけましょう。公道での過度な速度超過は厳禁です。
FZ400のフルパワー化は、バイクの持つ潜在能力を引き出し、よりスポーティな走りを楽しむための魅力的なカスタムです。しかし、リスクやコストも伴います。ご自身のスキルや予算、使用目的に合わせて、計画的に進めることが重要です。
総括:FZ400をフルパワー化するための吸排気系カスタム完全解説
この記事をまとめると、
- FZ400は1997年発売の水冷4気筒400ccバイクで最高出力53psを発揮
- 車体はヨーロッパで人気のFZS600と共通で大柄なサイズが特徴
- フルパワー化により53psから70ps前後まで出力向上が可能
- 最高速度も160km/hから200km/h以上へと約25%向上する
- 吸排気系のカスタムが主なフルパワー化の手段となる
- キャブレター交換は最も効果的なカスタムの一つである
- FCRやTMRの社外キャブレターで10-17ps程度の馬力向上が見込める
- FZS600用の純正キャブ流用も比較的安価で手軽な選択肢
- フルエキゾーストへの交換で8-12ps程度の出力アップが可能
- スリップオンマフラーは手軽だが効果は限定的(3-5ps向上)
- エアクリーナーカスタムはキャブやマフラーと組み合わせると効果的
- カスタム後は必ずキャブレターの再セッティングを行う必要がある
- 中古パーツの活用でコストを抑えたフルパワー化が可能
- パワーアップに伴い10-15%程度の燃費悪化を想定すべき
- 街乗りの扱いやすさが犠牲になる可能性も考慮した上でカスタムを検討