KLX230シェルパは後悔する?欠点と失敗しない選び方

18年ぶりに復活した名前、アウトドアテイストの専用外装、そしてセロー250の生産終了で空いた席をそのまま埋めるような立ち位置。カワサキのKLX230シェルパは、登場と同時に多くのライダーの視線を集めた一台です。ただ、64万円近い車両価格を前にすると、気持ちはそう簡単に前へは進みません。だからこそ、あなたは今KLX230シェルパで後悔したという声がないかを探しているのではないでしょうか。

実際、ウェブ上には非力だ、タンクが小さすぎる、足つきが不安だといった指摘が並びます。一方で、そうした声の多くは車体の性格を誤解したまま購入した結果でもあります。18馬力も7.6Lのタンクも845mmのシート高も、カワサキが意図して選んだ設計上の答えです。狙いを知らないまま契約書にサインすると、納車の翌週にミスマッチへ気づくことになりかねません。

ここでは、公式スペックと専門メディアの評価をもとに、購入後に不満が出やすいポイントを整理します。あわせて、弱点を打ち消す手段や兄弟車との違い、乗り出しにかかる本当の金額もまとめました。読み終えたとき、この一台があなたの走り方に合うかどうかがはっきりしているはずです。

  • 非力さやタンク容量など不満が出やすい八つの弱点の中身
  • 足つきや高速巡航に関する数値と実際の感覚のズレ
  • KLX230Sやセロー250と比べたときの優位点と劣る点
  • 弱点を消すカスタム手段と乗り出し総額のリアルな相場
目次
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KLX230シェルパで後悔する理由とは

  • 18馬力は非力?パワー不足の真相
  • タンク7.6Lと燃費が招く給油不安
  • シート高845mmの足つきは悪い?
  • 硬いシートで尻が痛くなる欠点
  • 高速道路は振動で疲れやすい?
  • 最低地上高240mmと装備面の不満

18馬力は非力?パワー不足の真相

結論から言えば、最高速や鋭い加速を期待して選ぶと確実に肩透かしを食らいます。搭載されるのは232ccの空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブエンジンで、カワサキの公表値によると最高出力は18PS(13kW)/8000rpm、最大トルクは1.9kgf-m(19N・m)/6400rpmとされています。250ccクラスの水冷モデルが24馬力前後を発揮することを考えると、数字だけを並べれば見劣りするのは事実です。

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とくに厳しい評価を下すのは、1997年登場の旧型スーパーシェルパを知る世代です。当時はDOHC4バルブで26馬力を発揮していました。八馬力もの差があれば、昔より遅くなったという感想が出るのも無理はありません。

ただ、この出力低下は技術が後退した結果ではありません。現代の排出ガス規制をクリアしながら、扱いやすさを追い込んだ答えが18馬力という数値です。吸気側バルブの小径化や吸気ポートの絞り込み、エキゾーストパイプ長の最適化によって、低中回転域の吸気流速が高められています。

結果として得られたのは、歩く速度に近い10km/h未満でもノッキングを起こさず、アクセルを大きく開けなくてもエンストしにくい粘り強い特性です。急な勾配のガレ場や深い轍が続く林道では、半クラッチを多用する場面が延々と続きます。エンストしにくいという性質は、そうした場所で何よりの安心材料になります。

高速道路を主戦場にしたい人や、直線での加速を楽しみたい人は、この時点で候補から外したほうが賢明です。逆に林道を散策する用途なら、18馬力は不足どころか計算し尽くされたセッティングだと感じられるはずです。

タンク7.6Lと燃費が招く給油不安

長距離ツーリングを主目的にする人にとって、もっとも現実的なストレスになるのが燃料タンク容量です。KLX230シェルパのタンクは7.6Lしかありません。車体のスリムさと軽さを優先した結果ですが、ツーリングの組み立て方に確実な制約を与えます。

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燃費測定基準 数値
国土交通省届出値(60km/h・定地燃費値、2名乗車時) 45.5 km/L
WMTCモード値(クラス2-1、1名乗車時) 34.7 km/L
ユーザー実勢燃費(ツーリング・林道複合) 約35.0〜44.0 km/L

数字が示す通り、燃費そのものは優秀です。一般道と林道を織り交ぜた実走でも、35km/Lから40km/L以上を記録したという報告が複数あります。空冷単気筒としては十分に経済的でしょう。

問題は容量です。仮に実燃費を35km/Lとすれば、計算上の最大航続距離は約266kmにとどまります。さらに厄介なのが燃料警告灯の点灯タイミングです。リザーブを約2Lと想定した場合、5.6Lほど消費した段階で警告灯が光ります。計算上は190kmから210km走ったあたりで、給油のプレッシャーが始まる形です。あくまで仮定に基づく目安であり、実際の点灯時期は燃費や路面状況、車体の姿勢によって前後します。

市街地なら大した問題にはなりません。ただ、山間部や過疎地域では事情が変わります。ガソリンスタンドの数が少ないうえ、日曜や祝日に休業している店舗も珍しくないからです。給油ポイントを常に頭へ置いて走る負担は、距離を重ねるほど効いてきます。

走りたいのに、あと何キロで給油できるかばかり考えてしまう。この感覚は、地図アプリを開く回数が増えるほど重くのしかかってきます。

シート高845mmの足つきは悪い?

シート高845mmの足つきは悪い?

Ride Style・イメージ

オフロードモデル選びにおいて、足つきは立ちゴケのリスクに直結する要素です。KLX230シェルパのシート高は845mmと公表されています。旧型スーパーシェルパが810mm、セロー250が830mmだった事実と並べると、ローダウン仕様をベースにしたモデルとしては高めに映るかもしれません。

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ただ、数値だけで見送ると、今度は買わなかったことを悔やむかもしれません。シェルパのサスペンションは初期の沈み込みが柔らかく、跨った瞬間に車体の自重とライダーの体重で深くストロークします。いわゆる1Gサグが大きいタイプです。

ライダーの体格 乗車時の足つき
身長168cm・体重78kg 両足がほぼ接地する
身長175cm・体重62kg・股下85cm 両足の踵がやや浮く程度
身長177cm 両足の踵までしっかり接地

サイドスタンドを立てた空車状態で見ると腰高な印象を受けますが、実際に乗車すると数値以上に地面が近く感じられます。体重がある人ほど恩恵は大きくなり、逆に軽量な人はサグ量が少ないぶん不利になる傾向があります。

だからこそ、カタログスペックだけで結論を出すのは避けたいところです。販売店で実車に跨り、装備を身につけた状態でどこまで接地するかを確かめてください。どうしても不安が残る場合は、後述するローダウンという解決策もあります。

硬いシートで尻が痛くなる欠点

足つきとは別に、構造上どうしても避けられない課題があります。長時間走行時の臀部の痛みです。シェルパのシートは直線的でフラットな形状をしており、座面もオンロードモデルに比べれば狭く作られています。

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これは手抜きではなく、明確な意図に基づく設計です。ダート走行では前後左右への体重移動が求められ、スタンディング姿勢への移行もひんぱんに発生します。フラットな座面と適度に硬いスポンジは、そうした動きを妨げないための条件です。柔らかくすると体重移動のたびに腰が沈み、操作の正確さが落ちてしまいます。

とはいえ、操作性のために犠牲になったのは快適性です。硬めのスポンジは臀部の一点に圧力を集中させやすく、連続走行でははっきりとした痛みにつながります。片道200kmを超える行程では、休憩の間隔が短くなっていく人も少なくありません。

痛みを減らす二つのアプローチ

もっとも手軽なのは、汎用のシートクッションを追加する方法です。ゲル素材を内蔵した製品なら、ベルトで固定するだけで座面の圧力を分散できます。温度による硬さの変化が少ない点も、屋外で使う道具としては心強い部分でしょう。

見た目の一体感を重視するなら、シート内部の加工という手もあります。純正シートの表皮を剥がし、ウレタン内部に直接ゲルを埋め込む加工を専門業者に依頼すれば、純正のシルエットを保ったまま快適性を高められます。同時にウレタンを削るアンコ抜きを行えば、痛みの軽減と足つき改善を一度に狙えます。

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高速道路は振動で疲れやすい?

ギア比の構成という点では、高速道路への対応力は不足していません。常時噛合式の6段リターンミッションを備え、5速で最高速付近まで到達できるため、6速は巡航回転数を下げる役割を担います。

実走テストの報告によると、最高速は110km/hから112km/h程度に達するとされ、100km/hでの巡航でもエンジンが悲鳴を上げる感覚はないようです。数字の上では、移動手段として不足はありません。

ただ、快適かどうかは別の話になります。速度が100km/hに近づくにつれ、単気筒特有の高回転域の振動が増幅していきます。テーパードハンドルや金属がむき出しになったステップを通じて、振動は腕と脚へ直接伝わってきます。加えて、大型のフロントフェンダーやハンドガードが空気抵抗を生み、横風や大型トラックの追い越しに対する直進安定性を削ります。

専門家の見解では、ゆとりを持って走れるのは80km/hから90km/h程度という評価が一般的です。高速道路で数百キロを一気に移動する使い方を想定していると、疲労の蓄積に驚くことになります。

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巡航時の負担を減らす工夫

対策がないわけではありません。スプロケットの丁数を変更してハイギヤード化すれば、100km/h巡航時の回転数を下げられます。振動と燃費の両方に効く手段ですが、引き換えに極低速でのねばりが落ちるトレードオフが生じます。

もう一つ、ハンドルクランプ部のマウント変更という手法も知られています。純正はラバーマウントですが、これをアルミ製のソリッドパーツへ置き換えると、ハンドルまわりの剛性が上がります。ただし、パーツメーカーの製品説明で目的として挙げられているのは、転倒時にハンドルクランプがねじれるのを防ぐことと、操作感をよりダイレクトにすることです。振動を軽減する部品としては説明されていません。

ラバーによる振動の絶縁効果を手放す方向の変更になるため、振動対策として期待するのは筋違いです。ハンドルのねじれを嫌うオフロード志向の人には有効ですが、高速道路での疲労を減らしたいという目的なら、ギア比の見直しやハンドガード、グリップの選び直しといった別の手段を先に検討してください。

最低地上高240mmと装備面の不満

スタンダードのKLX230は最低地上高が265mmですが、シェルパは240mmまで25mm下げられています。シート高を845mmに抑えつつ、フロント200mm・リア223mmというサスペンションストロークを確保するための設計的な妥協点です。

フラットな林道や一般的な未舗装路なら、240mmという数値が問題になる場面はほとんどありません。ただし、深くえぐられた轍や岩が連続するガレ場に持ち込むと話は変わります。アンダーガードやフレーム底部を路面にヒットさせる確率が上がるためです。ベース車より走破性が落ちる事実は、限界性能を求める層には見過ごせないでしょう。

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日常で気になる細かな不満点

もう少し身近なところにも不満の種があります。まず指摘が多いのがサイドスタンドです。展開して駐車したとき、車体の傾きが浅く、直角に近い状態で立つ傾向があります。左下がりの傾斜地や不整地では、反対側への転倒に神経を使うことになるでしょう。乗車したまま払う際も、車体を右へ大きく傾けないと格納できません。

標準のバックミラーも改善候補です。ステーが短いため、体格によっては自分の腕や肩が鏡面の大半を占めてしまいます。社外ミラーやオフセットアダプターへ交換するライダーは多く、購入直後の追加出費として記憶に残ります。

メーターはフルデジタルのモノクロ液晶で、専用アプリを介したスマートフォン連携にも対応しています。それだけの装備を持ちながら、ギアポジションインジケーターは表示されません。6速ミッションを積むモデルだけに、今何速なのか分からないもどかしさを訴える声が目立ちます。

KLX230シェルパの後悔を防ぐ選び方

KLX230シェルパの後悔を防ぐ選び方

Ride Style・イメージ

  • KLX230Sとの違いと価格差の価値
  • セロー250と比較した長所と短所
  • 旧スーパーシェルパとのスペック差
  • ローダウンで足つきを改善する方法
  • 積載性を高めるキャリア活用術
  • 新車と中古の乗り出し価格の相場
  • 満足する人と向いていない人の差
  • 総括:KLX230シェルパは後悔する?欠点と失敗しない選び方

KLX230Sとの違いと価格差の価値

購入検討の最終段階で多くの人が悩むのが、兄弟車であるKLX230Sとの選択です。エンジン、メインフレーム、前後サスペンションといった基幹部分は完全に共通で、価格差は44,000円あります。

比較項目 KLX230 SHERPA KLX230S
メーカー希望小売価格(税込) 638,000円 594,000円
シート高 845mm 845mm
装備重量 134kg 133kg
ハンドルバー アルミテーパード 鉄製ブレースバー付き
ハンドガード 標準装備 なし
アンダーガード アルミ製スキッドプレート 樹脂製または非装着
サスペンションストローク フロント200mm/リア223mm 同左
エンジン出力 18PS/1.9kgf-m 同左

KLX230Sは競技用モトクロッサーを思わせるシャープな外観を持ち、幅広のブレースバー付きハンドルを採用しています。フロントまわりに重量物がないぶん1kg軽く、スポーティな操作感を味わえる点が魅力です。

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対するシェルパは、アウトドアギアとしての完成度を高めた仕様です。剛性の高いアルミテーパードハンドル、金属ステー入りのハンドガード、エンジン下部を守るアルミ製スキッドプレート、スタック時に車体を引き上げるスタックパイプを標準で備えます。

これらを後からアフターパーツで揃えると、部品代と工賃で44,000円は簡単に超えます。装備差を単なる見た目の違いだと誤解してKLX230Sを買い、あとから林道用の装備を足していった結果、総額で高くついたというパターンは典型的な失敗例です。

セロー250と比較した長所と短所

マウンテントレールの絶対王者だったセロー250は、ヤマハの公式発表によると2020年7月31日に最後の1台が生産ラインを離れ、生産を終えたとされています。乗り換え先として、あるいは中古セローとの二択としてシェルパを見ている人は非常に多いはずです。

比較項目 KLX230 SHERPA セロー250(最終型)
総排気量 232cc 249cc
最高出力 18PS/8000rpm 20PS/7500rpm
最大トルク 1.9kgf-m/6400rpm 2.1kgf-m/6000rpm
シート高 845mm 830mm
最低地上高 240mm 285mm
装備重量 134kg 133kg
トランスミッション 6速リターン 5速リターン
燃料タンク容量 7.6L 9.3L
ヘッドライト LED ハロゲン
ABS 標準装備(解除時は前後とも無効) なし

基礎体力という観点では、セロー250の優位は今も揺らぎません。出力もトルクも上回り、シート高は15mm低く、タンク容量は1.7L多い。とりわけ最低地上高285mmという数値は大きく、難所での限界値はセローに軍配が上がります。

一方で、シェルパの武器は現代設計の恩恵にあります。まず、ABSを標準で備えている点は見逃せません。カワサキ公式の説明によると、ABSはスイッチ操作によって解除できるものの、その際は前輪と後輪の両方が対象となり、走行中の切り替えはできない仕様とされています。前後どちらか一方だけを残す使い方はできませんが、舗装路でのパニックブレーキにおける安心感は、ABSを持たないセロー250にはない要素です。

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灯火類についても、カワサキ公式が明記しているのはLEDヘッドライトの採用です。テールランプやウインカーまで含めてすべてがLEDだと説明されてはいないため、そこは切り分けて理解しておきましょう。それでも、街灯のない山道で前方を照らす主役はヘッドライトですから、視界の恩恵は小さくありません。6速ミッションが巡航回転数を下げてくれる点も、5速のセローにはない強みです。

加えて見逃せないのが中古市場の事情です。状態の良いセロー250は新車価格を上回る値で取引され、電装系の経年劣化リスクも常についてまわります。最新の規制に適合したインジェクション車を、メーカー保証付きの新車で手に入れられる点は、価格以上の価値があります。

旧スーパーシェルパとのスペック差

シェルパという名を受け継いだ以上、1997年登場の初代と比較されるのは避けられません。当時のスペックを知る人ほど、新型の数値に戸惑いを覚えるようです。

比較項目 KLX230 SHERPA スーパーシェルパ(初期型)
エンジン構造 空冷単気筒SOHC2バルブ 空冷単気筒DOHC4バルブ
総排気量 232cc 249cc
最高出力 18PS/8000rpm 26PS/8000rpm
最大トルク 1.9kgf-m/6400rpm 2.6kgf-m/6500rpm
シート高 845mm 810mm
最低地上高 240mm 265mm
燃料タンク容量 7.6L 9.0L
車両重量 134kg(装備) 107〜111kg(乾燥)
燃料供給 フューエルインジェクション キャブレター

こうして並べると、旧型がいかに緩やかな環境規制のもとで作られた高性能マシンだったかが分かります。DOHC4バルブで26馬力、乾燥重量107kgから111kg、シート高810mmという組み合わせは、現代の基準では実現がきわめて難しい数値です。当時を知るベテランが新型に跨って落胆するのは、ある意味で必然でしょう。

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ただし、旧型にも現代の感覚では受け入れがたい欠点がありました。キャブレター特有の始動性の悪さ、冬場のチョーク操作と暖機の手間、極低速でのエンストしやすさ。当時は当たり前でしたが、今の基準では無視できない負担です。

新型はフューエルインジェクションとセルスターターを備えており、気温や標高による燃調の変化を電子制御で補正しやすい構造です。始動性が必ず保証されるという話ではないものの、キャブレター時代のようにチョークを操作しながら機嫌をうかがう手間は減りました。低速トルクに振ったSOHC2バルブとの組み合わせで、エンストのリスクも下がっています。名前は同じでも、開発された時代も狙いも異なる別物として捉えることが、失望を避ける最善の心構えになります。

ローダウンで足つきを改善する方法

ローダウンで足つきを改善する方法

Ride Style・イメージ

845mmという数値にどうしても不安が残る人、不整地で確実な足場が欲しい人には、物理的に車高を下げるという選択肢があります。

もっとも一般的なのは、サスペンションのリンク機構に手を入れる方法です。ただし、ダウン量も使用条件もメーカーによって異なるため、製品ごとの説明を必ず読み込んでください。

製品例 ダウン量の目安 メーカーが示す条件
BEET製ローダウンリンク 約20mm 不整地走行と二人乗りは推奨されていない
ZETA製ローダウンリンク 約26mm 純正サイドスタンドのまま使用可と明記

前述の通り、シートのアンコ抜きを組み合わせれば合計で40mm前後のダウンが見込め、シート高を800mm台前半まで落とせる計算になります。数値の上では、足つきに対する不安はかなり軽くなるでしょう。ただし、車高を下げれば車体の挙動も駐車時の安定性も変わるため、下げれば下げるほど良いという話ではありません。

ローダウンを行う際は、サイドスタンドの扱いをセットで確認してください。車高が下がると、ただでさえ浅い駐車時の傾きがさらに浅くなる可能性があります。一方で、ZETAのように純正スタンドのまま使えると明記している製品もあるため、短縮加工が常に必要になるわけではありません。純正流用の可否が示されていない製品を選ぶ場合は、スタンドの切断・溶接によるショート加工や対応スタンドの導入を、購入前に販売店へ相談しておくと安心です。

もう一点、車高を下げれば最低地上高も同じだけ低くなります。240mmという数値がさらに削られるため、路面の凹凸が大きい場所を走る予定があるなら下げ幅は慎重に決めてください。ローダウンリンクの中には、メーカー自身が不整地走行や二人乗りを推奨していない製品もあります。街乗りが中心なのか、林道へ入るのか、タンデムの予定はあるのか。走り方によって選ぶべき製品も、そもそも下げるべきかどうかも変わってきます。数値だけを追わず、メーカーが示す使用条件まで含めて選ぶことが、後悔を避ける近道です。

積載性を高めるキャリア活用術

シェルパには荷掛けフックすら備わっておらず、標準状態での積載スペースは事実上ゼロです。キャンプツーリングを視野に入れるなら、ここをどう埋めるかが最初の課題になります。

DRCやENDURANCEといったメーカーから、専用設計のリアキャリアが複数リリースされています。50Lクラスの大型トップケースやツーリングバッグを安定して固定でき、グラブバー機能を備えた製品ならタンデム時に同乗者がつかまる場所も確保できます。

さらに踏み込むなら、サイドバッグサポートの装着が効果的です。リアタイヤへの巻き込みやマフラーの熱によるバッグの焼損を防ぎながら、左右振り分け式のバッグを安全に取り付けられます。片側にガソリン携行缶を積んでおけば、タンク容量の不足をそのまま補えます。

携行缶の容量 実燃費35km/L換算の航続距離
追加なし(7.6L) 約266km
1L追加 約301km
2L追加 約336km
3L追加 約371km

数字が示す通り、伸びる距離は携行量に比例します。1Lでも3Lでも同じように350km近くまで走れるわけではありません。どこまでの余裕が欲しいのかを決めてから容量を選びましょう。なお、携行缶は消防法に適合した金属製の製品を選び、直射日光や高温を避けて積載する必要があります。

タンク容量という弱点は、車体を変えなくても運用で埋められます。ガス欠の不安から解放されたとき、林道ツーリングの自由度は一気に広がるはずです。

ただし、積載を増やせば車体は重くなり、重心も高くなります。荷物を満載したままの林道走行では、取り回しの軽快さが失われる点も覚えておいてください。

新車と中古の乗り出し価格の相場

最後に避けて通れないのが資金計画です。カワサキモータースジャパンが設定するメーカー希望小売価格は、全カラー共通で638,000円(税込)とされています。ただし、この金額で公道を走り出せるわけではありません。

実際には、自賠責保険料、税金、ナンバー登録の代行費用、納車整備費用といった法定費用と諸経費が、おおむね6万円から8万円ほど加算されます。オプションなしの標準状態でも、乗り出し価格は69万円から72万円に着地するケースが大半です。販売店のキャンペーン次第では、60万円台に収まる例も見られます。

正規ディーラーで購入し、メンテナンスパックへの加入に加えてETC2.0車載器、USB電源、リアキャリアなどの純正オプションをフル装備すると、支払総額が80万円から90万円近くに達することがあります。見積もりの段階で、どこまでを本当に必要とするかを整理しておきましょう。

一方、中古車という選択肢もあります。流通量は限られるものの、登録済未使用車や早期に手放されたワンオーナー車が少しずつ出てきており、車両本体価格46万円から57万円程度で見つかることがあります。諸経費を含めた乗り出しの相場は59万円から61万円前後で、新車と比べて10万円ほど抑えられます。

狙い目は、ETC車載器やキャリア、トップケースが装着済みの個体でしょう。初期投資を抑えつつ、積載性という弱点を解消した状態で走り出せます。予算に制約があるなら、高年式低走行の中古も候補に入れておく価値があります。

満足する人と向いていない人の差

ここまで見てきた事実を踏まえ、どんな人がこの一台と長く付き合えるのかを整理します。

買って満足できるライダー像

まず、下道中心ののんびりしたツーリングを好む人です。高速道路は移動の補助と割り切り、80km/hから90km/hで流せれば十分だと考えられる人。見知らぬ脇道を見つけたとき、Uターンのしやすさを武器に迷わず分け入っていける人。極低速でのねばりは、そうした走り方でこそ生きてきます。

次に、オフロード性能よりもアウトドアギアとしてのデザイン性に惹かれる人です。アースカラーの専用塗装やアルミスキッドプレート、ファットバーが生む雰囲気は、通勤路からキャンプ場まで違和感なく溶け込みます。

三つめは、セロー250の中古価格高騰に嫌気がさしている堅実な人です。程度の良い個体を探し回る労力や、古い車両特有のトラブルリスクを避け、保証付きの新車で安心して乗りたいと考えるなら、現状もっとも合理的な受け皿になります。

後悔する可能性が高いライダー像

逆に、旧型スーパーシェルパの26馬力や乾燥重量111kgをそのまま現代に期待している人は避けたほうが無難です。マイルドな特性に対し、頭打ちが早い、物足りないという不満が先に立ちます。

長距離を高速で移動したいアドベンチャー志向の人も同様でしょう。常時100km/h以上での巡航や、無給油で300km以上を走破したいという願いは、232ccの単気筒と7.6Lのタンクでは叶いません。

そして、ハードなセクションを攻めたい競技志向の人にも不向きです。最低地上高240mmという制約に加え、保安部品が充実しているぶん転倒時の修理コストが膨らみます。限界の走破性を求めるなら、より車高が高く軽量なモデルを選ぶべきでしょう。

結局のところ、この一台は速さや限界性能で評価するバイクではありません。自分の走り方を正直に見つめ直したとき、あなたはどちら側に立っているでしょうか。そこがはっきりすれば、判断に迷いはなくなるはずです。

総括:KLX230シェルパは後悔する?欠点と失敗しない選び方

  • 232cc空冷単気筒で最高出力18PS、鋭い加速を求めると物足りない
  • 出力低下は排ガス規制対応と低中速重視のチューニングによる結果
  • 10km/h未満でも粘りエンストしにくい特性が林道で強みになる
  • 燃料タンクは7.6Lで計算上の航続距離は約266kmにとどまる
  • 警告灯の点灯時期はリザーブ約2Lと仮定した場合の計算上の目安にすぎない
  • シート高845mmはサスの沈み込みが大きく数値ほど不利にならない
  • フラットで硬いシートは体重移動を優先した設計で長距離では痛む
  • ゲルクッション追加やシート内部の加工で快適性を高められる
  • 快適な巡航速度は80km/hから90km/h程度で高速主体には不向き
  • 最低地上高240mmはベース車より25mm低くハードな路面で不利
  • ギアポジション非表示やミラーの視認性は細かな不満点として残る
  • KLX230Sとの44,000円差は専用装備を後付けするより割安になる
  • セロー250には基礎体力で劣るがABSとLEDヘッドライトと6速で上回る
  • ローダウンはダウン量も純正スタンドの可否も製品ごとに異なる
  • 新車の乗り出しは69万円から72万円、中古なら59万円前後が目安
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