Z1000STとMKIIの違いとは?エンジンやカスタム性を詳しく比較

Z1000STとMKIIの違いとは?エンジンやカスタム性を詳しく比較

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カワサキのZ1000STとZ1000MKIIは、同じ時期に登場したモデルでありながら、その構造や仕様に大きな違いがある。特にフレーム設計や駆動方式の違いは、走行特性やメンテナンス性に影響を与えており、それぞれの特性を理解することが重要だ。Z1000STはツアラー志向のシャフトドライブを採用し、長距離走行に適した設計となっている。一方、Z1000MKIIはスポーツ性能を重視し、チェーンドライブによる高い加速性能と軽快なハンドリングを実現している。見た目は似ているものの、エンジンマウントやスイングアームの設計、ホイールサイズの違いなど、細かい点で互換性がない部分も多い。本記事では、Z1000STとZ1000MKIIの違いを詳細に比較し、それぞれの特徴や適した用途を解説していく。

  • Z1000STとZ1000MKIIのフレームや駆動方式の違い
  • エンジンや足回り、ホイールサイズの違いと走行特性への影響
  • タンクやシート形状の違いと互換性の有無
  • 中古市場での価格差や選ぶべきモデルの特徴
目次

Z1000STとMKIIの違いとは?フレームや駆動方式を解説

  • Z1000STとMKIIの基本スペックの比較
  • フレーム構造の違いと互換性の有無
  • 駆動方式の違い:シャフトドライブとチェーンドライブ
  • タンクやシート形状の違いと互換性
  • ホイールサイズと足回りの違い

Z1000STとMKIIの基本スペックの比較

Z1000STとZ1000MKII(以下、MKII)は、同じ時期に登場し、外観も非常に似ているため混同されやすいですが、細かい部分で異なる点が多くあります。ここでは、それぞれの基本スペックを比較し、どのような違いがあるのかを詳しく解説します。

Z1000STとMKIIの基本スペック表

以下に、それぞれの主要スペックを一覧で比較します。

項目 Z1000ST Z1000MKII
エンジン型式 空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒 空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
排気量 1015cc 1015cc
最高出力 93ps / 8000rpm 93ps / 8000rpm
最大トルク 9.1kg・m / 6500rpm 9.1kg・m / 6500rpm
駆動方式 シャフトドライブ チェーンドライブ
フレーム形式 ダブルクレードル(専用設計) ダブルクレードル(Z1派生)
フロントホイールサイズ 19インチ 19インチ
リアホイールサイズ 17インチ 18インチ
ホイールベース 1535mm 1490mm
車体重量(乾燥重量) 255kg 245kg

エンジン性能はほぼ同じ

まず注目すべきは、両者のエンジン性能がほぼ同じである点です。排気量、最高出力、最大トルクの数値は一致しており、基本的なエンジン設計も同様です。これにより、直線加速や最高速度に関しては大きな違いはないと考えられます。ただし、駆動方式の違いにより、走行フィーリングには差が生まれます。

最大の違いは駆動方式

Z1000STとMKIIの最も大きな違いは「駆動方式」です。Z1000STはシャフトドライブを採用しているのに対し、MKIIは従来のチェーンドライブを継続しています。

シャフトドライブのメリットとしては、メンテナンスの手間が少なく、チェーンのように定期的な張り調整や交換が不要である点が挙げられます。また、汚れが飛び散りにくいため、ツーリング用途では非常に便利です。一方で、駆動ロスが発生しやすく、加速時のトルク変動が大きくなるため、スポーツ走行には向かないというデメリットもあります。

一方、MKIIのチェーンドライブは、駆動効率が高く、レスポンスの良い加速が可能です。スポーツモデルとしての特性を求める場合には、チェーンドライブの方が有利といえるでしょう。

ホイールサイズと車体重量の違い

もう一つの違いは、リアホイールサイズと車体重量です。MKIIは前後ホイールサイズが「19インチ・18インチ」の組み合わせであるのに対し、Z1000STは「19インチ・17インチ」となっています。この違いにより、Z1000STはリアタイヤの扁平率が高く、安定感のある走行特性を持つことが特徴です。また、ホイールベースもZ1000STの方が長く、直進安定性が強化されています。

一方で、MKIIの方が10kg軽量であり、ホイールサイズも一般的なスポーツバイクと同様のため、軽快なハンドリングを実現しやすい設計になっています。

Z1000STとMKII、どちらを選ぶべきか?

これらの違いを踏まえると、Z1000STは「ツーリング向けのモデル」であり、MKIIは「スポーツ志向のモデル」といえます。特に、長距離ツーリングを楽しみたい場合は、メンテナンスの楽なシャフトドライブを持つZ1000STが適しています。一方で、コーナリング性能や軽快な走りを重視するのであれば、MKIIを選ぶ方が適しているでしょう。

フレーム構造の違いと互換性の有無

Z1000STとMKIIのフレームは、見た目が非常に似ているものの、実際には構造が異なり、互換性もほとんどありません。この違いを理解することは、カスタムやパーツ流用を考えている人にとって非常に重要です。ここでは、フレームの違いを詳細に解説します。

フレームの基本構造の違い

両者とも「鋼管ダブルクレードルフレーム」を採用していますが、その設計には大きな違いがあります。

項目 Z1000ST Z1000MKII
フレーム構造 Z1300系の強化フレーム Z1系の最終進化版
ネック角度 変更あり(Z1300ベース) 変更なし
スイングアームピボット幅 幅広 標準
ステムシャフト J系に近い設計 Z系と共通

Z1000STのフレームは、Z1000MKIIのフレームと異なり、Z1300の設計をベースにしています。そのため、ネック周りの補強やスイングアームピボットの幅、ステムの長さなどが異なります。

フレームの互換性はあるのか?

結論からいうと、Z1000STとMKIIのフレームに互換性はありません。特に、以下の点で異なるため、簡単なスワップはできません。

  1. スイングアームのピボット幅

    • Z1000STはシャフトドライブのため、ピボット幅が広く設計されています。そのため、MKIIのスイングアームを取り付ける場合、大幅な加工が必要になります。
  2. ステアリング周りの違い

    • Z1000STはZ1300の影響を受けているため、ステムのオフセットが異なり、フォークの位置が通常のZ系よりも広くなっています。これにより、MKIIのフロントフォークやステムをそのまま流用することはできません。
  3. エンジンマウントの違い

    • Z1000STのフレームはエンジンマウント位置が低いため、MKIIのエンジンを搭載する場合、スプロケットの位置調整やマウントの変更が必要になります。

フレームの違いによる影響

このようにフレーム設計が異なるため、Z1000STをMKII仕様に変更することは容易ではありません。特に、シャフトドライブをチェーンドライブ化する場合、エンジン内部の加工が必要になり、大規模な改造が求められます。

また、Z1000STはフレーム剛性が高いため、ワイドスイングアームを取り付ける際の自由度が高いというメリットもあります。しかし、専用パーツが必要になることを考慮すると、MKIIの方がカスタムのしやすさでは有利といえます。

以上の点から、Z1000STとMKIIのフレームは見た目が似ていても、構造的にはまったく別物であり、互換性がないことがわかります。

駆動方式の違い:シャフトドライブとチェーンドライブ

Z1000STとZ1000MKII(以下、MKII)の最大の違いの一つが「駆動方式」です。Z1000STはシャフトドライブを採用しているのに対し、MKIIはチェーンドライブを採用しています。この違いは、バイクの走行特性やメンテナンス性に大きな影響を与えます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

シャフトドライブとは?

シャフトドライブは、エンジンの出力をシャフト(回転軸)を通じてリアホイールに伝達する方式です。この方式は、自動車やツアラータイプのバイクによく採用されており、以下の特徴を持っています。

メリット

  • メンテナンスの手間が少ない:チェーンのように定期的な張り調整やオイル注入が不要で、比較的長期間メンテナンスフリーで使用できます。
  • 汚れにくい:オイルやグリスが飛び散らないため、車体周りが汚れにくく、ツーリングなどで長距離を走る際に便利です。
  • 耐久性が高い:シャフトドライブはチェーンドライブよりも耐久性があり、過酷な環境でも安定した駆動が可能です。

デメリット

  • 駆動ロスが大きい:ギアを介して動力を伝えるため、チェーンドライブよりもエネルギーロスが発生し、加速性能が低下します。
  • 重量が増す:シャフトドライブの構造上、車体が重くなりがちで、ハンドリングに影響を与えます。
  • カスタムが難しい:スプロケットやチェーンを変更してファイナルレシオを調整することができないため、ギア比の変更が困難です。

チェーンドライブとは?

一方、MKIIが採用するチェーンドライブは、エンジンの出力をチェーンとスプロケットで直接後輪に伝える方式です。スポーツバイクのほとんどに採用されており、以下のような特徴があります。

メリット

  • 駆動効率が高い:動力をダイレクトに伝えられるため、加速性能が優れています。
  • 軽量化が可能:シャフトドライブに比べ、駆動系が軽く、バイクの運動性能を向上させやすいです。
  • カスタマイズ性が高い:スプロケットのサイズを変更することで、簡単にギア比の調整ができます。

デメリット

  • メンテナンスが必要:チェーンは伸びるため、定期的な調整やオイル注入が欠かせません。
  • 汚れやすい:チェーンのオイルが飛び散るため、リア周りが汚れやすくなります。
  • 寿命が短い:チェーンやスプロケットは摩耗しやすく、一定距離を走るごとに交換が必要になります。

どちらが優れているのか?

Z1000STはツーリング向けのモデルであり、長距離走行を考慮してメンテナンスフリーのシャフトドライブを採用しています。一方、MKIIはスポーツ性能を重視し、加速性能やカスタム性に優れるチェーンドライブを採用しています。使用目的によって、どちらが適しているかが異なります。

タンクやシート形状の違いと互換性

Z1000STとMKIIは、外観が非常に似ているため、タンクやシートの互換性があると思われがちですが、実際には全く異なる設計になっています。ここでは、それぞれの形状の違いや、互換性の有無について詳しく解説します。

タンク形状の違い

Z1000STとMKIIのタンクは見た目が似ているものの、設計が異なり、相互の流用はほぼ不可能です。

項目 Z1000ST Z1000MKII
タンク形状 幅広で角ばったデザイン 幅が狭くスリムなデザイン
取り付け方法 フレーム側のマウント位置が異なる Z1やZ1000と互換性あり
容量 約18L 約17.8L

Z1000STのタンクはMKIIよりも幅が広く、独自のボトム形状を持っています。そのため、MKIIのタンクをZ1000STに取り付けるには、フレーム側のステーを加工する必要があります。さらに、STのタンクは全長が長いため、MKIIのシートと合わせると隙間ができてしまいます。

シート形状の違い

シートも同様に、Z1000STとMKIIでは形状が異なり、互換性がありません。

項目 Z1000ST Z1000MKII
シート形状 幅広で厚みがある スリムでタンクとの一体感が強い
シートレール 専用設計(幅広) Z1と類似した設計
互換性 なし なし

Z1000STはツーリング志向のため、シートは幅広で厚みがあり、長距離走行でも快適な設計になっています。一方、MKIIはスポーツ志向のため、スリムでタンクとの一体感が強いデザインとなっています。

カスタムや流用の難易度

これらの違いにより、Z1000STとMKIIのタンクやシートを互いに流用することは困難です。取り付けを考える場合は、大幅な加工が必要となるため、基本的にはそれぞれ専用のパーツを使うことが推奨されます。

ホイールサイズと足回りの違い

Z1000STとMKIIのホイールサイズや足回りにはいくつかの重要な違いがあります。特に、リアホイールのサイズとサスペンションの設計が異なるため、走行性能に影響を与えます。

ホイールサイズの違い

項目 Z1000ST Z1000MKII
フロントホイール 19インチ 19インチ
リアホイール 17インチ 18インチ
タイヤの太さ 幅広 標準

Z1000STは、ツアラーとしての特性を持つため、リアホイールが17インチと小さめで、より安定した走行が可能です。一方、MKIIはリアホイールが18インチであり、よりスポーティな操縦性を実現しています。

足回りの違い

  • Z1000STは、シャフトドライブの影響でリアサスペンションの角度が異なり、通常のZ系パーツの流用が難しいです。
  • MKIIはZ1の流れを汲む設計で、一般的なスポーツバイクと同様の足回りを持ち、カスタムパーツの流用がしやすいです。

これらの違いにより、Z1000STは長距離走行向け、MKIIはスポーティな走行向けという明確な特徴を持っています。

Z1000STとMKIIの違いをカスタム視点で解説

  • スイングアームのワイド化とそのメリット
  • チェーン駆動化は可能?改造の難易度
  • エンジンの違いはあるのか?パーツの流用性
  • Z1000STをMKII仕様にする際の課題
  • Z1000STの中古市場価格とMKIIとの価格差
  • どちらを選ぶべき?用途に応じたおすすめモデル
  • まとめ

スイングアームのワイド化とそのメリット

Z1000STとZ1000MKII(以下、MKII)はフレームの設計が異なり、特にスイングアームの取り付け部(ピボット幅)に大きな違いがあります。Z1000STはもともとシャフトドライブを採用しているため、スイングアームのピボット幅が広く設計されており、この点がワイドスイングアーム化において重要なポイントとなります。ここでは、スイングアームのワイド化について詳しく解説し、それによるメリットについても紹介します。

スイングアームのワイド化とは?

スイングアームのワイド化とは、リアホイールの幅を広げるために、スイングアーム自体のピボット幅や長さを変更することを指します。特に、タイヤの幅を広げるために、ワイドスイングアームが必要となる場合が多く、Z1000STのフレームはこの点で有利な特性を持っています。

Z1000STとMKIIのスイングアームピボット幅の比較

Z1000STはシャフトドライブを搭載する関係で、スイングアームの取り付け幅がMKIIよりも広くなっています。以下の表で、それぞれのピボット幅を比較してみましょう。

項目 Z1000ST Z1000MKII
ピボット幅 広い(ワイド仕様) 狭い(標準仕様)
スイングアーム形状 専用設計(シャフトドライブ対応) 標準設計(チェーンドライブ対応)
互換性 低い(カスタム向き) 高い(流用しやすい)

Z1000STのフレームはスイングアームのピボット幅が広いため、ワイドスイングアームを無加工で取り付けられる可能性があります。一方、MKIIは標準的なチェーンドライブ向けのスイングアーム設計になっているため、ワイド化する場合は追加の加工が必要になります。

ワイドスイングアーム化のメリット

スイングアームをワイド化することで、主に以下のようなメリットが得られます。

  1. 太いリアタイヤの装着が可能

    • スイングアームをワイド化することで、より幅広のリアタイヤを装着できるようになります。これにより、接地面積が増加し、コーナリング時の安定性やグリップ力が向上します。
  2. 剛性の向上

    • ワイドスイングアームは通常、剛性が高い設計になっています。そのため、バイクの走行中に発生するフレームや足回りのねじれを抑えることができ、より安定した走行が可能になります。
  3. カスタムの自由度が上がる

    • Z1000STのワイドなピボット幅を活かすことで、スイングアームやリアタイヤの選択肢が広がります。他社製のスイングアームや現代のバイクのパーツを流用することも可能になります。

スイングアームをワイド化する際の注意点

ワイドスイングアーム化には多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。

  • リアサスペンションの変更が必要になる場合がある

    • スイングアームをワイド化すると、リアサスペンションの取り付け角度や長さを変更しなければならない場合があります。
  • チェーンラインの調整が必要

    • チェーン駆動に変更する場合、エンジンのスプロケット位置とリアホイールの位置を適切に合わせるための調整が必要です。
  • スイングアームの長さによる影響

    • スイングアームを延長するとホイールベースが長くなり、直進安定性が向上する一方で、旋回性能が低下する可能性があります。

このように、Z1000STはもともとワイドスイングアーム化に適した設計になっており、カスタムの幅が広がる一方で、調整や加工が必要になる点も考慮しなければなりません。

チェーン駆動化は可能?改造の難易度

Z1000STはシャフトドライブを採用しているため、そのままではMKIIのようなチェーンドライブに変更することはできません。しかし、チェーン駆動化のカスタムを行うことは理論上可能であり、実際にカスタムバイクとしてチェーン駆動化されたZ1000STも存在します。ただし、この改造には高度な技術と大規模な作業が必要となるため、どのような手順や課題があるのかを詳しく解説します。

チェーン駆動化の基本的な手順

シャフトドライブをチェーンドライブに変更するには、以下のような改造作業が必要になります。

  1. エンジンのアウトプットシャフトの交換

    • シャフトドライブのエンジンにはアウトプットシャフト(駆動力を後輪に伝える軸)が専用設計されています。これをチェーンドライブ用のシャフトに交換する必要があります。
  2. スイングアームの変更

    • Z1000STのスイングアームはシャフトドライブ専用の設計になっているため、そのままではスプロケットやチェーンを取り付けることができません。MKIIや他のチェーンドライブ用のスイングアームを流用する必要があります。
  3. リアホイールの変更

    • シャフトドライブ用のリアホイールは、チェーンドライブのスプロケットを装着することができません。そのため、MKIIや他のチェーンドライブ用のホイールを使用するか、スプロケット取り付け部を加工する必要があります。
  4. チェーンラインの調整

    • チェーンとスプロケットの位置を適切に合わせるために、エンジンマウントの変更やスイングアームの調整が必要になる場合があります。

改造の難易度と課題

シャフトドライブをチェーンドライブに変更するには、エンジン内部の加工、スイングアームやホイールの変更、チェーンラインの調整など、多くの作業が必要です。そのため、一般的なカスタムに比べて難易度は非常に高くなります。

改造の難易度が高い理由

  • エンジン内部の作業が必要

    • エンジンのアウトプットシャフトの交換は、エンジンを全バラしなければならないため、専門的な知識と技術が必要です。
  • パーツの入手が難しい

    • Z1000ST専用のチェーンドライブ用パーツは存在しないため、他のモデルから流用するか、ワンオフで製作する必要があります。
  • フレームの加工が必要になる可能性がある

    • シャフトドライブ用のフレームは、スプロケットやチェーンの取り付けを考慮して設計されていません。そのため、チェーンラインを確保するためにフレームの一部を加工する必要が出る場合があります。

このように、Z1000STのチェーン駆動化は可能ですが、大掛かりな改造が必要になり、専門的な技術が求められます。既存のZ1000STをそのまま乗る場合はシャフトドライブのメリットを活かし、どうしてもチェーンドライブ化したい場合はMKIIや他のZ系モデルをベースにした方が現実的な選択肢となるでしょう。

エンジンの違いはあるのか?パーツの流用性

Z1000STとZ1000MKII(以下、MKII)は、基本的に同じZ系エンジンを搭載しているため、外観上は大きな違いがないように見えます。しかし、実際にはいくつかの細かい違いがあり、それがパーツの流用性に影響を与えます。ここでは、両車種のエンジンの違いと、どの程度パーツの互換性があるのかを詳しく解説します。

Z1000STとMKIIのエンジンスペック比較

項目 Z1000ST Z1000MKII
エンジン型式 空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒 空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
排気量 1015cc 1015cc
最高出力 93ps / 8000rpm 93ps / 8000rpm
最大トルク 9.1kg-m / 6500rpm 9.1kg-m / 6500rpm
クランクケース ST専用設計 Z1系を踏襲
クラッチ バックトルクリミッター付き 標準クラッチ
ミッション シャフトドライブ用(専用設計) チェーンドライブ用
ダイナモ 互換性あり 互換性あり

エンジンの基本構造は同じ

Z1000STとMKIIのエンジンは、基本的に共通の設計を持っており、排気量、ボア×ストローク、カムシャフトの基本スペックなどもほぼ同じです。そのため、シリンダーヘッドやピストン、クランクシャフトといった主要部品の多くは流用可能です。

違いがあるパーツと流用の可否

一方で、エンジンの駆動方式が異なるため、以下のような部分に違いがあり、流用が難しい場合があります。

  1. クランクケース

    • Z1000STはシャフトドライブ専用のクランクケースを採用しています。そのため、MKIIのエンジンケースと完全に互換性があるわけではありません。
  2. クラッチ機構

    • Z1000STは「バックトルクリミッター付きクラッチ」を採用しているため、クラッチハブの設計が異なります。一方、MKIIは標準的なクラッチ構造のため、完全な互換性はありません。
  3. ミッションギア

    • Z1000STはシャフトドライブ用の専用ミッションを搭載しています。MKIIはチェーンドライブのため、アウトプットシャフトの設計が異なり、直接の流用は困難です。
  4. オイルパン

    • エンジンオイルの循環経路やドレンボルトの位置が微妙に異なるため、オイルパンの互換性にも注意が必要です。

パーツ流用の可能性

エンジンの基本構造が共通であるため、ボルトオンで交換できる部品も多く存在します。以下のパーツは比較的流用しやすい部品といえます。

  • シリンダーヘッド
  • カムシャフト
  • バルブ関連パーツ
  • ダイナモ
  • キャブレター

ただし、ミッションやクラッチ周りの部品は互換性が低く、特にSTのシャフトドライブをチェーンドライブに変更する場合、エンジンケース内部の大掛かりな加工が必要になります。そのため、エンジンを丸ごとMKIIのものに載せ替える方が現実的な選択肢となる場合もあります。

Z1000STをMKII仕様にする際の課題

Z1000STとMKIIは外観が非常によく似ているため、STをMKII仕様にカスタムすることを検討するライダーも少なくありません。しかし、両者の設計には細かな違いがあり、完全なMKII仕様に仕上げるには多くの課題が伴います。ここでは、Z1000STをMKII仕様にする際の主な問題点と、その解決策について解説します。

Z1000STをMKII仕様にする際の主な課題

STをMKII仕様にする際に直面する問題は、大きく以下の4つに分類できます。

  1. 駆動方式の違い(シャフトドライブ → チェーンドライブ化)
  2. フレーム設計の違い
  3. 外装パーツの互換性
  4. 足回りの違い

1. 駆動方式の違い

Z1000STはシャフトドライブを採用しているため、そのままではMKIIのチェーンドライブ仕様にはなりません。シャフトドライブからチェーンドライブに変更するには、以下の改造が必要になります。

  • ミッションギアとアウトプットシャフトの変更
  • スイングアームとリアホイールの交換
  • チェーンラインの調整
  • エンジンケースの加工

この作業は非常に高度な技術を要するため、ショップに依頼するか、エンジン自体をMKIIのものに載せ替えるのが現実的な選択肢となります。

2. フレーム設計の違い

見た目が似ているものの、STとMKIIのフレームは異なり、特にスイングアームのピボット幅が違います。STの方がピボット幅が広いため、MKIIのスイングアームを装着する場合は加工が必要です。また、ステアリングステムの長さや形状も異なるため、フロント周りの互換性にも注意が必要です。

3. 外装パーツの互換性

タンクやサイドカバー、シートなどの外装パーツは、STとMKIIで形状が微妙に異なるため、単純なボルトオンでは装着できません。

パーツ 互換性
タンク フレーム形状が異なり、無加工では装着不可
シート フレーム幅が違うため、そのままでは装着不可
サイドカバー フレームのダボ位置が異なるため、加工が必要
メーター ステーのピッチが違うため、取付には工夫が必要

MKII仕様にするためには、タンクステーやシートレールの加工が必要になり、大掛かりな作業が求められます。

4. 足回りの違い

Z1000STはリアホイールが17インチ、MKIIは18インチのため、ホイールサイズが異なります。また、STのフォークはZ1300と共通の設計で、MKIIのフォークとは異なるため、フロント足回りをそのまま流用するのは難しいです。

まとめ:MKII仕様への改造は現実的か?

Z1000STをMKII仕様にすることは可能ですが、エンジン、フレーム、外装、足回りの多くの部分で加工が必要になります。特にシャフトドライブをチェーンドライブ化する作業は高度な技術を要するため、ショップに依頼するか、完全にMKIIの車両を購入する方が費用対効果は高いかもしれません。

それでもSTのフレームの剛性を活かして、ワイドスイングアーム化やオリジナルのMKII仕様カスタムを目指すのであれば、十分な知識と計画が必要になります。

Z1000STの中古市場価格とMKIIとの価格差

カワサキの Z1000STZ1000MKII(MKII) は、共に1979~1980年に生産された名車であり、旧車市場において高い人気を誇ります。しかしながら、現在の中古市場における価格には大きな違いがあります。ここでは、それぞれのモデルの市場価格の動向を解説し、その価格差について詳しく見ていきます。

中古市場におけるZ1000STの価格

Z1000STは、かつてはMKIIと比べて知名度が低く、中古市場でも比較的手頃な価格で取引されていました。しかし、近年の旧車人気の高まりとともに、その希少性が再評価され、価格が上昇傾向にあります。

2025年現在のZ1000STの中古価格帯(概算)

状態 価格帯(万円)
レストアベース 40~80万円
実動車(ノーマル・軽カスタム) 90~150万円
フルレストア済・極上車 180~250万円

Z1000STはもともと 欧州市場向け に開発されたこともあり、日本国内では流通量が少ないため、極上車両の価格は今後さらに上昇する可能性があります。

中古市場におけるZ1000MKIIの価格

一方、Z1000MKIIはカワサキの「角Z」の代表格であり、 プレミア旧車としての評価が非常に高い モデルです。そのため、Z1000STと比較すると、市場価格が圧倒的に高額となっています。

2025年現在のZ1000MKIIの中古価格帯(概算)

状態 価格帯(万円)
レストアベース 150~250万円
実動車(ノーマル・軽カスタム) 300~500万円
フルレストア済・極上車 600万円以上

特に フルオリジナルの極上車両 や、 当時の純正パーツを保有した車両 には、高額なプレミアがついています。MKIIの市場価格は年々上昇しており、現在では 500万円以上 の価格で取引されることも珍しくありません。

Z1000STとMKIIの価格差

上記の価格を比較すると、 同じレストアベース車両でもZ1000STの価格はMKIIの約1/2~1/3程度 となっていることが分かります。また、 実動車の価格差も150~300万円 程度と、大きな違いがあります。

この価格差の理由は、主に以下の3つにあります。

  1. MKIIの市場価値の高さ

    • 角Zシリーズの中でも「Z1000MKII」は象徴的なモデルであり、コレクターズアイテムとしての価値が非常に高い。
  2. 生産台数と流通量

    • Z1000STはMKIIよりも流通量が少なく、認知度が低かったため価格が抑えられていた。しかし、希少性の再評価により価格上昇の傾向にある。
  3. 人気のカスタムベース

    • MKIIは「スポーツバイク」としての認知度が高く、カスタムベースとしての需要が非常に高い。一方、Z1000STはツアラーとして設計されており、カスタム車両の選択肢が少ない。

このように、 MKIIは旧車市場における超プレミアモデル であり、 Z1000STは比較的手頃な価格で入手できるモデル という位置づけとなっています。

どちらを選ぶべき?用途に応じたおすすめモデル

Z1000STとZ1000MKIIは、見た目は非常に似ているものの、 エンジン特性や駆動方式、フレーム設計が異なる ため、用途に応じた選択が重要になります。ここでは、それぞれのモデルがどのようなライダーに向いているのかを解説します。

Z1000STを選ぶべきライダー

Z1000STは、以下のような用途・目的に適しています。

長距離ツーリングを楽しみたい

  • シャフトドライブを採用しているため、 メンテナンスの手間が少なく 、ツアラーとしての性能に優れる。

比較的手頃な価格で旧車を楽しみたい

  • MKIIと比べると 価格が安く 、コストパフォーマンスが高い。

独自のスタイルを持つカスタム車を作りたい

  • ワイドスイングアームの装着が容易であり、カスタムの自由度が高い。

維持費を抑えたい

  • シャフトドライブのため チェーンやスプロケットの交換が不要 で、ランニングコストが比較的安い。

Z1000MKIIを選ぶべきライダー

Z1000MKIIは、以下のような用途・目的に適しています。

旧車としての価値を重視したい

  • 角Zシリーズの中でも特に 人気が高く、リセールバリューも非常に高い

スポーツライディングを楽しみたい

  • チェーンドライブを採用しており、 加速性能やコーナリング性能が優れる

MKIIのスタイルにこだわりたい

  • 角型デザインのタンクやカウルなど、 「MKIIならではのルックス」が魅力

カスタムベースとして活用したい

  • 社外パーツが豊富に揃っており、 カスタムの自由度が非常に高い

結論:用途によって選ぶべきモデルが異なる

項目 Z1000ST Z1000MKII
ツーリング性能 ◎(シャフトドライブ採用) ○(チェーンドライブ)
スポーツ走行 ◎(軽量&チェーンドライブ)
メンテナンス性 ◎(シャフト駆動で楽) △(チェーン調整が必要)
カスタムの自由度 ○(スイングアームの選択肢が豊富) ◎(社外パーツが豊富)
中古市場価格 ◎(比較的安価) △(高額・プレミア付き)
旧車としての価値 ◎(希少価値が高い)

このように、 ツーリングメインならZ1000ST、スポーツライディングやカスタムを楽しみたいならZ1000MKIIが向いている といえます。

まとめ

  • コストを抑えつつ、ツーリングや維持のしやすさを重視するならZ1000ST
  • スポーツライディングやカスタムベース、コレクターズアイテムとしての価値を求めるならZ1000MKII

それぞれの特性を理解し、自分の用途に合ったモデルを選ぶことが最も重要です。

総括:Z1000STとMKIIの違いとは?エンジンやカスタム性を詳しく比較

この記事をまとめると、

  • Z1000STとMKIIは外観が似ているがフレームや駆動方式が異なる
  • Z1000STはシャフトドライブ、MKIIはチェーンドライブを採用
  • シャフトドライブはメンテナンスが楽だがスポーツ走行には不向き
  • MKIIのチェーンドライブは駆動効率が高く、加速性能に優れる
  • Z1000STのフレームはZ1300ベース、MKIIはZ1の進化版
  • スイングアームのピボット幅がZ1000STの方が広くカスタム向き
  • Z1000STはリアホイール17インチ、MKIIは18インチで操縦性が異なる
  • Z1000STのタンクは幅広でMKIIとは互換性がない
  • シートやサイドカバーの取り付け位置も異なり、流用が難しい
  • Z1000STのフレーム剛性が高く、ワイドスイングアーム化が容易
  • シャフトドライブをチェーンドライブ化するには大規模な改造が必要
  • エンジンは基本的に共通だが、ミッションやクラッチ機構が異なる
  • Z1000STはツーリング向け、MKIIはスポーツ走行向けの特性を持つ
  • 中古市場ではMKIIの方が圧倒的に高額でプレミア価格がついている
  • Z1000STはMKII仕様にカスタム可能だが、多くの加工が必要になる
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