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XJR1200は1994年に日本市場向けにリリースされたヤマハの空冷4気筒ネイキッドバイクですが、中古市場では比較的安価で取引されており、不人気なのではと感じる方も多いでしょう。このバイクには持病や弱点があると言われ、壊れやすいという評判を耳にすることもあります。一方で、スペックや燃費、カスタムの幅広さ、フルパワー化の可能性など、魅力的な要素も数多く存在します。また、族車というイメージを持たれることもあるこのモデルですが、実際のところはどうなのでしょうか。
本記事では、XJR1200が不人気と言われる背景にある具体的な理由を明らかにしながら、このバイクが持つ本当の魅力や実力についても詳しく解説していきます。購入を検討されている方や、すでにオーナーとなっている方にとって有益な情報をお届けします。
この記事で分かること
- XJR1200が中古市場で安価な理由と不人気と言われる背景
- 持病や弱点として知られる具体的なトラブルと対策方法
- スペックや燃費など基本性能の実態
- カスタムやフルパワー化の可能性と中古車選びのポイント
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XJR1200が不人気と言われる理由

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- 持病のスタータークラッチ問題
- クラッチレリーズからのフルード漏れ
- ヘッド周りからのオイル漏れ
- XJR1300登場による価格下落
- 部品供給終了による整備の難しさ
持病のスタータークラッチ問題
XJR1200の最も深刻な持病として知られているのが、スタータークラッチ(ワンウェイクラッチとも呼ばれます)の不具合です。この部品はエンジン始動時にセルモーターの回転をクランクシャフトに伝える重要な役割を担っています。
症状としては、セルボタンを押してもエンジンがかからず、ガガガという異音が発生したり、逆にクーンクーンと空回りする音がしたりします。特に冬場の寒い時期や、エンジンが温まった状態では症状が出やすい傾向にあります。オーナーの中には、押しがけをしないとエンジンがかからないという経験をされた方も少なくありません。
この不具合の厄介な点は、修理にエンジンを車体から降ろし、クランクケースを上下に分割する必要があることです。工賃は店舗によって差がありますが、高額になりやすく、この時点で1300エンジンへの載せ替えを検討するオーナーも存在します。
なお、XJR1300ではこの部品が改良され信頼性が向上したとされています。修理する際は、1300用の改良品に交換することが推奨されています。FJ1200の時代から引き継がれた弱点であり、XJR/FJオーナーズコミュニティでは広く知られた問題です。
クラッチレリーズからのフルード漏れ
しばらく乗らないと
クラッチがスカスカに( ˃ ⌑ ˂ഃ )クラッチレリーズから
フルードが漏れてしまっているようです😵💫
XJR1200や1300はココが弱点だったり…
シール交換で安く抑える事も可能ですが
当店としてはassy交換がオススメです♪また乗り回して下さいませ✨
本日もご安全に🙇♂️ pic.twitter.com/9VbEkxzBgO— 野口モータース (@noguchi_motors) September 30, 2025
XJR1200では、クラッチレリーズからのブレーキフルード漏れも頻繁に報告されています。クラッチレリーズはクラッチの油圧システムの一部で、内部のOリングやパッキンが経年劣化することで、フルードが漏れ出す現象が発生します。
FJ1200の時代から続く持病として、オーナーコミュニティでは広く認識されています。XJR1300になっても完全には解消されていないという報告があります。
幸いなことに、この修理は比較的対応しやすく、部品代も高額ではありません。ただし、放置すると油圧が低下してクラッチが切れなくなる可能性もあるため、早めの対処が必要となります。
フルードを定期的に交換するなど、こまめなメンテナンスを心がけることで、このトラブルを予防できる可能性が高まります。中古車を購入する際は、クラッチフルードの色を確認し、真っ黒になっている場合は要注意です。
ヘッド周りからのオイル漏れ

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経年劣化により、ヘッドカバーからのエンジンオイル漏れも発生しやすい箇所として知られています。ヘッドカバーとシリンダーヘッドの間に使われているガスケット(パッキン)が劣化することで、オイルがにじみ出てくる現象です。
漏れの程度によっては、エンジン周辺が汚れたり、オイルの減りが早くなったりします。XJR1200は空冷エンジンのため、もともとオイルの減りが早い傾向にありますが、ヘッド周りからの漏れがあると、さらに頻繁なオイル補充が必要になります。
修理方法としては、ヘッドカバーガスケットの交換が基本となります。部品代は比較的安価で、工賃も高額ではありません。自分で整備できる方であれば、DIYでの対応も可能な作業です。
複数のオーナーが経験しているトラブルであり、年式や保管状態、走行状況に応じて注意が必要と言われています。定期的なオイル交換と、エンジン周辺の清掃を行うことで、早期発見につながるでしょう。
XJR1300登場による価格下落
来年の春のために買いました。
中古だけどさ。XJR1200♡ ヨシムラフルエキ付き〜 pic.twitter.com/oWKpEOBQyV— hitoshi (@manson1428) December 24, 2013
XJR1200が中古市場で比較的安価な理由として、1998年にXJR1300が登場したことが大きく影響しています。排気量が1,188ccから1,251ccへと拡大され、最高出力も100PSへと向上しただけでなく、車体の軽量化や各部の改良も行われました。
XJR1300の登場により、1200は旧モデルという位置づけとなり、中古車としての人気が分散しました。性能面で劣る1200を選ぶ理由が薄れ、結果として価格が下落したのです。
逆に言えば、予算を抑えてリッターバイクに乗りたい方にとって、XJR1200は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となります。デザインや空冷エンジンの魅力は1200も1300も変わりませんし、純粋にバイクを楽しむには十分な性能を持っています。
中古市場での価格帯は、時期や地域、個体の状態によって大きく変動します。購入を検討される際は、複数の中古車情報サイトで最新の相場を確認されることをおすすめします。同年代の他のリッターバイクと比較しても、手頃な価格設定となっている傾向が見られます。
部品供給終了による整備の難しさ

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XJR1200は日本市場で1994年に発売され、その後数年間生産されましたが、すでに多くの純正部品が販売終了となっています。特に、ピストン、シリンダー、コンロッドといったエンジンの基幹部品が入手困難になっている点は、整備する上で大きなリスクとなります。
もしシリンダーにダメージがあった場合、スリーブを製作して打ち替える必要が生じ、通常のオーバーホールよりも高額な費用がかかります。ピストンについても、適合する社外品があれば使用できる可能性はありますが、確実に入手できるとは限りません。
ただし、XJR1300と共通の部品も存在するため、全ての部品が手に入らないわけではありません。フレームや足回りなど、流用できる部品もありますが、年式や市場による仕様差があるため、現物での確認や部品番号の照合が必要です。オークションサイトなどでは、中古パーツも豊富に出回っています。
中古車を購入する際は、エンジンの状態を入念にチェックする必要があります。特にシリンダーやピストンにダメージがないか、可能であれば圧縮測定を行うことをおすすめします。もし不安がある場合は、最初から1300エンジンへの載せ替えを前提に購入するという選択肢もあるでしょう。
XJR1200は本当に不人気?魅力と実力

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- 基本スペックと性能
- 実際の燃費はどれくらい?
- 空冷エンジンの寿命と耐久性
- フルパワー化とカスタムの可能性
- 族車イメージは本当か?
- 中古車を選ぶ際の注意点
基本スペックと性能
XJR1200は、1,188ccの空冷4ストローク並列4気筒DOHCエンジンを搭載しています。このエンジンはFJ1200用をベースに、吸排気系を新設計することで、低中速域のトルク不足を解消しました。
項目 | 数値 |
---|---|
排気量 | 1,188cc |
最高出力 | 97PS(71kW)/8,000rpm |
最大トルク | 9.3kgf·m(91.2N·m)/6,000rpm |
車両重量 | 乾燥約232kg/装備約246-255kg程度 |
シート高 | 790mm |
燃料タンク容量 | 21L |
最高出力は8,000回転で97馬力を発生し、最大トルクは6,000回転で9.3kgf·mとなっています。1994年当時としては、国内ネイキッドバイクで世界最大排気量を誇り、ライバルのカワサキ・ゼファー1100やホンダ・CB1000スーパーフォアを上回る性能を持っていました。
車両重量については資料によって記載が異なりますが、乾燥重量は約232kg、装備重量は約246kgから255kg程度とされています。リッターバイクとしては取り回しがしやすく、教習所のCB750に乗れれば問題なく扱えるという声も多く聞かれます。
エンジン特性としては、6,000回転あたりから加速スピードが劇的に変わり、空冷エンジンらしい野太いパワー感を味わえます。低速域では大人しく、高回転では力強く加速する典型的な並列4気筒の特性を持ち、扱いやすさと十分なパワーを両立しています。
実際の燃費はどれくらい?
#乗ってる車名と長所と短所書いてけ
XJR1200【長所】
空冷4発の割に値段が安め
音がイイ【短所】
空冷なので渋滞ハマったら終わり
燃費がクソ
デカくて取り回しにくい pic.twitter.com/lwMor298d0— タケちゃん (@TKC_1822) September 14, 2023
XJR1200の燃費については、オーナーによって報告される数値にかなりの幅があります。国土交通省届出値では、60km/h定地走行時で26.0km/Lとなっていますが、実走行ではこの数値を達成することは困難でしょう。
実際のオーナーレビューを見ると、街乗りメインで10km/Lから15km/L程度、高速道路での巡航では15km/Lから20km/L程度という報告が多く見られます。カスタムを施している場合、さらに燃費が悪化する傾向にあります。
走行シーン | 燃費の目安 |
---|---|
街乗り | 10~15km/L |
高速巡航 | 15~20km/L |
ツーリング平均 | 13~18km/L |
燃料タンク容量が21Lあるため、燃費が良い時は満タンで300km以上走行できますが、街乗りメインでは200km前後でガソリンが無くなることもあります。ツーリング中は給油のタイミングに注意が必要でしょう。
空冷エンジンは水冷エンジンと比較して熱効率が低いため、燃費面では不利になります。また、排気量が大きいことや車重も、燃費に影響を与えています。リッターバイクとしては平均的な数値ですが、燃費を重視する方には向いていないかもしれません。
オイル交換をこまめに行い、キャブレターの同調をしっかり取ることで、燃費の改善が期待できます。また、急加速を控え、エンジン回転数を抑えた走行を心がけることも効果的です。
空冷エンジンの寿命と耐久性

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リッターバイクの寿命は一般的に10万km以上と言われており、XJR1200も適切なメンテナンスを行えば長く乗り続けることが可能です。実際に6万km以上走行している個体も珍しくなく、エンジンの基本的な耐久性は高いと評価されています。
空冷エンジンの特徴として、構造がシンプルで水冷エンジンのようにラジエーターやウォーターポンプなどの冷却系統のトラブルが発生しないというメリットがあります。故障箇所が少ないため、維持管理がしやすいとも言えるでしょう。
ただし、空冷エンジンは熱の影響を受けやすく、オイルの劣化が早い傾向にあります。特に夏場の渋滞や、山道を登った直後などは油温が上昇しやすく、オーバーヒートに注意が必要です。油温計を取り付けて、常に油温を監視しているオーナーも多く見られます。
オイル交換の頻度は、メーカー推奨よりも短い間隔で行うことが推奨されます。3,000kmごと、または半年ごとの交換が理想的とされています。オイルの粘度についても、気温に応じて適切なものを選ぶことで、エンジンの寿命を延ばすことができます。
エンジンの基本設計は丈夫で、致命的な故障は少ないと言われています。前述のスタータークラッチの問題を除けば、消耗品の交換を適切に行うことで、20年以上経過した車両でも問題なく走行できる事例が多数報告されています。
フルパワー化とカスタムの可能性
最近見なくなったXJR1200。
これ国内仕様はインマニが半分くらい閉じていて、流量が制限されています(でも低速は乗りやすい)。フルパワーにするにはFJ1200用のインマニが必要になります(廃盤)。
純正で4個頼むと2万円くらいしたのですが、何故かミハラスペシャリティさんで頼むとキットで半額くらい! pic.twitter.com/iFQ7Ep44Aw— 矢田 宏樹 (@yada_ynfp) September 24, 2019
XJR1200は国内仕様でも97PSと十分なパワーを持っていますが、さらなるパワーアップを求めてカスタムを施すオーナーも存在します。キャブレターのセッティング変更やマフラー交換、エアクリーナーの変更などを組み合わせることで、出力向上が期待できるとされています。
カスタムパーツは非常に豊富で、マフラーではヨシムラ、モリワキ、ストライカー、ノジマなど多数のメーカーから選択できます。足回りについても、フロントフォークのスプリング交換やリアショックの変更など、さまざまなカスタムが可能です。
年式によっては排ガス規制が比較的緩やかなため、カスタムの自由度が高いとされています。音量規制についても時期により異なりますので、車検時には各地域の規制を確認する必要があります。
ブレーキについては、1995年モデル以降はブレンボ製キャリパーが採用されている個体が多く、制動力は十分です。ただし、年式や市場によってブレンボと住友製の仕様差があるとされていますので、購入時には確認が必要です。
カスタムの方向性としては、ストリート仕様、ツーリング仕様、サーキット走行を意識した仕様など、オーナーの好みに応じて多彩な選択が可能です。オークションサイトなどで中古パーツも多く流通しているため、コストを抑えたカスタムも実現しやすいでしょう。
族車イメージは本当か?

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XJR1200が族車というイメージを持たれることがありますが、これは主にネイキッドバイク全般に対する偏見や、一部の改造車両の印象によるものと考えられます。実際には、ツーリングやサーキット走行を楽しむオーナーが大半で、暴走行為に使われるようなバイクではありません。
確かに、集合管マフラーの迫力ある排気音や、空冷エンジンの無骨なスタイルは、旧車のようなワイルドな雰囲気を持っています。しかし、これはバイク本来の魅力であり、決して反社会的なイメージとは結びつきません。
むしろ、XJR1200はヤマハのフラッグシップモデルとして開発され、ブレンボやオーリンズといった高品質なパーツを装備し、品質の高さも特徴です。オーソドックスなネイキッドスタイルとして、幅広い層に支持されてきました。
バイクの使い方やマナーはライダー次第です。XJR1200に乗っているからといって、特定のイメージで見られる必要はありません。ツーリングを楽しむ紳士的なライダーも多く、バイク仲間との交流も盛んです。
現在では、25年以上前のバイクとなり、若者よりも中高年のリターンライダーが選ぶケースも増えています。かつての憧れだったバイクに再び乗りたいという動機で購入される方も多く、落ち着いた層のオーナーが目立ちます。
中古車を選ぶ際の注意点
XJR1200の中古車を選ぶ際は、前述したスタータークラッチの状態を最優先で確認する必要があります。エンジンの始動性をチェックし、セルモーターがスムーズに回るか、異音がないかを必ず試してください。
できれば冷間時と暖機後の両方で始動テストを行うことが望ましいでしょう。冬場や寒い日に購入する場合は、冷間時の始動性を確認できる利点があります。
クラッチフルードやブレーキフルードの色も重要なチェックポイントです。真っ黒に変色している場合、長期間交換されていない可能性が高く、他の部分のメンテナンス状態も疑わしいと判断できます。
チェック項目 | 確認内容 |
---|---|
エンジン始動 | セルの音、始動のスムーズさ、異音の有無(冷間・暖機の両方で確認) |
オイル漏れ | ヘッドカバー、クラッチレリーズ周辺の確認 |
フルード類 | クラッチ、ブレーキフルードの色 |
消耗品 | タイヤ、ブレーキパッド、チェーンの状態 |
転倒歴 | 外装の傷、ハンドル・ステップの曲がり |
走行距離については、リッターバイクの場合3万km程度までは大きな影響はありませんが、5万kmを超える車両では、各部の消耗が進んでいる可能性があります。ただし、走行距離よりもメンテナンス履歴の方が重要で、オイル交換などが適切に行われていれば、高走行車両でも良好な状態を保っているケースもあります。
購入先としては、保証がつくバイクショップからの購入が安心です。個人売買やオークションで購入する場合は、冷間時にアポなしで訪問し、エンジンをかけさせてもらうなど、慎重な確認が必要でしょう。
予算は車両価格だけでなく、購入後の整備費用も考慮に入れる必要があります。安い車両を購入しても、その後の修理費用で結局高くつくケースもあります。購入時に整備予算を確保しておくことをおすすめします。
個体差も大きいため、年式だけでなく総合的な状態を見て判断することが重要です。信頼できるバイクショップに相談しながら、自分に合った一台を見つけてください。
総括:XJR1200が不人気と言われる理由は?持病や魅力を徹底解説
- XJR1200は1994年に日本市場向けにリリースされた空冷4気筒ネイキッドバイク
- XJR1300の登場により旧モデルとなり中古市場での価格が相対的に下落
- スタータークラッチの不具合は最も深刻な持病でエンジン分解が必要な修理となる
- クラッチレリーズからのフルード漏れはオーナーコミュニティで広く知られた問題
- ヘッドカバーからのオイル漏れは経年劣化による典型的なトラブル
- ピストンやシリンダーなど一部の基幹部品が販売終了しており入手が困難
- 排気量1188ccで最高出力97PSは十分なパワーを持つ
- 燃費は街乗りで10から15km/L程度とリッターバイクとしては平均的
- 適切なメンテナンスで10万km以上の走行も可能な耐久性を持つ
- 空冷エンジンは構造がシンプルで水冷系統のトラブルがない利点がある
- カスタムパーツが豊富でカスタムの自由度が高い
- 族車というイメージは偏見で実際はツーリング派のオーナーが多い
- 中古車選びではスタータークラッチの状態確認が最重要
- 車両重量は資料によって差があり乾燥約232kg装備約246から255kg程度
- XJR1300との共通部品もあるが年式や市場差があるため現物確認が必要
- 空冷4気筒ネイキッドとして今でも魅力的な選択肢である